研究課題
AKCの遺伝的素因の同定:昨年度に引き続き、大阪大学遺伝統計学講座の岡田随象教授との共同研究で、難治性AKCゲノムサンプルのGWAS解析を施行した。イルミナ社製のアジア人用SNPアレイを用いた解析を施行した。現在のところ、ゲノムワイド関連解析の有意水準を満たすバリアントは検出されていないが、AKCゲノムのサンプル数を増やして、ゲノムワイド関連解析の有意水準を満たすバリアントを検出する試みを継続している。AKCモデルマウスの作成:抗原感作(ダニ抗原とブタクサ花粉抗原)後、49日間にわたって抗原点眼投与を継続したモデルを樹立し、マイクロアレイを用いて結膜組織における遺伝子発現プロファイルを検討した。その結果、増殖型ケラチン(Krt6/Krt16)の発現増加, 杯細胞のマーカー遺伝子(Gp2/Muc5ac)の発現増加を認め、ヒトAKC組織における結膜の増殖反応や杯細胞の増生といった病態の一部を再現することに成功した。一方で、当初目標にしていた異所性のリンパ器官形成に関しては、関連する遺伝子(Cxcl13/Ccl21)の発現増加は見られたものの、形態学的に結膜における異所性のリンパ器官形成は確認されず、さらなるモデルの改良に現在取り組んでいる。(具体的にはリコンビナントIL-33の同時投与、IL-25遺伝子の過剰発現を試している。)また、ウサギを用いて抗マウスIL-33中和抗体を作成し、In vitroで抗体の中和能力を確認した。現在AKCモデルマウスに投与する実験を開始し、投与量とその方法(全身投与、点眼投与)の効果を検討している。
2: おおむね順調に進展している
AKCの遺伝的素因の解析はHLA領域以外にゲノムワイド関連水準を有意に満たすバリアントが検出されなかったため、サンプル数を増やすため、臨床検体の収集を鋭意進めている。AKCモデルマウスの作成に関しては、当初予定した実験を計画通りに進めており、網羅的な遺伝子解析も施行した。予定通りの進捗状況と考えられる。
令和3年度はAKCゲノムサンプルの追加収集、AKCモデルマウスの確立と中和抗体を使用した治療の試みを継続するとともに、成果を学術雑誌に投稿することを予定している。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件)
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