研究課題/領域番号 |
19K09980
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松田 彰 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (00312348)
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研究分担者 |
岩本 怜 順天堂大学, 医学部, 助教 (10568207)
海老原 伸行 順天堂大学, 医学部, 教授 (20255699)
浅田 洋輔 順天堂大学, 医学部, 助教 (70596626)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アトピー性角結膜炎 / マウスモデル / IL-33 / 中和抗体 |
研究実績の概要 |
今年度はアトピー性角結膜炎(AKC)モデルマウスの改良に精力的に取り組んだ。具体的には、昨年作成したダニ抗原+ブタクサ花粉投与に慢性マウス角結膜炎モデルに加えて、IL-25トランスジェニックマウス(IL-25Tgマウス)を樹立した。IL-25Tgマウスはホモ個体において無刺激の状態でも顔面にアトピー性皮膚炎に似た表現型を呈することが判明し、現在その成果を学術誌に投稿するための準備を進めている。またIL-25Tgマウスを用いてダニ抗原+ブタクサ花粉刺激の慢性マウス角結膜炎モデルを作成することにより、これまでみられなかった結膜の異所性リンパ器官の形成がみられるのか、ヒトAKCの病態により近いマウスモデルとなりうるのか、現在解析を進めている。また、佐賀大学医学部・分子生物学講座の出原賢治先生、布村聡先生との共同研究で、顔面にアトピー性皮膚炎様の皮疹を自然発症し、AKCモデルマウスとしての可能性を期待されているFADSマウスを順天堂大学に導入し、病態解析を開始した。治療につながる試みとして、マウスIL-33に対する中和抗体を自作し、ブタクサ花粉モデル、IL-25TG-ダニ抗原+ブタクサ花粉モデル、FADSマウスを用いて中和抗体を投与し、その効果を評価中で、ブタクサ花粉誘発マウスアレルギー性結膜炎モデルを用いたプレリミナリーな報告を昨年の日本アレルギー学会で発表した。その結果、マウスの腹腔内に感作前と点眼チャレンジ前に抗IL-33抗体を投与すると結膜への好酸球浸潤が抑制されることが判明した。またin vitroの実験で抗IL-33抗体がマウス肥満細胞におけるIL-33刺激を中和し、IL-33誘導性のIL-13産生を抑制することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、AKCマウスモデルの樹立で大きな進歩があった。すなわち、FADSマウスを共同研究で導入することができたため、重症AKCマウスモデルを得ることができた。研究期間を延長して、FADSマウスの病態とIL-33抗体の治療効果を検証することを予定しており、予想以上に研究成果が伸びてゆくことが期待される。また我々が樹立したIL-25Tgの表現型もユニークであるため、更なる展開が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長して、昨年樹立したIL-25Tgマウスと導入したFADSマウスの病態解析、並びに抗IL-33抗体の結膜炎に対する治療効果を検証してゆく。また、IL-25TGはアトピー性皮膚炎モデルとしての可能性が期待されるため、順天堂アトピーセンターの高井先生と共同で解析を開始した。抗体投与の方法や時期を検証することは将来の抗IL33抗体療法の臨床応用に向けた重要な基礎的データと考えられるため、現在、腹腔内投与だけでなく、静脈内投与と点眼投与の効果を検証している。また、特に表現型が重篤なFADSマウスの眼病変の治療に関しては抗体投与だけでなくIL-33欠損マウスとの交配でIL33発現の機能的意義を解析してゆく。最終的にGWASの結果と合わせて、ヒト重症AKCに対する新たな治療の創出へと繋げたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度途中で、新規AKCマウスモデルであるFADSマウスとIL-25Tgマウスを得たことにより、更なる成果を得るため、来年度にその解析と治療の試みを施行するために次年度に研究経費を用いた追加実験を予定したため。
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