研究課題/領域番号 |
19K09985
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南場 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
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研究分担者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / 上皮増殖因子受容体 / エピレグリン |
研究実績の概要 |
我が国の上位ぶどう膜炎原因疾患であるサルコイドーシス、フォークト-小柳-原田病、ベーチェット病、HLA―B27関連急性前部ぶどう膜炎、また、コントロール群として健常人について、血清中の上皮増殖因子受容体およびそのリガンドであるエピレグリン等の濃度をマルチプレックス法にて測定し、検討した。血清は2011年1月1日から2017年12月31日の間に北海道大学病院眼科を初診された眼サルコイドーシス25例(平均年齢56.0±16.1、男性5例、女性20例)、フォークト-小柳-原田病30例(平均年齢49.7 ± 15.5、男性11例、女性19例)、ベーチェット病7例(平均年齢41.0±7.83、男性5例、女性2例)、HLA―B27関連急性前部ぶどう膜炎8例(平均年齢35.5±12.61、男性5例、女性3例)、ならびに大阪大学健康支援センターにて採取された健常人25例(平均年齢53.2 ± 2.7, 男性3例、女性22例)のものを使用した。サルコイドーシス、フォークト-小柳-原田病、ベーチェット病、HLA―B27関連前部ぶどう膜炎の症例については、全例採血時に眼炎症を認め、ステロイド等の抗炎症治療が行われていない症例を対象とした。エピレグリンならびにその他の上皮増殖因子受容体のリガンド(アンフィレグリン、ベタセルリン、TGF-アルファ、HB-EGF)すべてで、コントロール群と比べ、サルコイドーシス、フォークト-小柳-原田病、ベーチェット病、HLA―B27関連前部ぶどう膜炎で有意に上昇していた(マンホイットニーのU検定:P<0.05)。これらの結果は関節リウマチや多発性硬化症など局所炎症性疾患の患者での既報と一致しており、これらの疾患と同様にぶどう膜炎患者においても上皮増殖因子の炎症増幅への関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者血清中での測定は予定通り終了し、有意な結果が得られた。 現在、動物モデルでの検討の準備を進めており、F759遺伝子変異マウスの当研究室への移動調整中である。マウスの移動が完了次第、動物モデルでの評価を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
F759 遺伝子変異マウスでは ネガティブシグナルが阻害されてIL-6 産生が亢進し、上皮増殖因子が関与する炎症増幅経路はさらに増強される。F759遺伝子変異マウスにおいて実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎( EAU )が増強されるかどうかを検討する。具体的には、野生型C57BL/6およびその同系のF759遺伝子変異マウスをヒト視細胞間レチノイド結合蛋白由来ペプチドで免疫しEAUを惹起する。免疫から7日目から3、4日ごとにマウスの眼底を検査し臨床スコアをつけるとともに、免疫から21日目に眼球を摘出し組織学的スコアを評価する。また、免疫から10日目のリンパ節を摘出、T細胞を抽出、抗原特異的T細胞増殖反応を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:ぶどう膜炎における上皮増殖因子受容体等の濃度についての計画が順調に行われ、予定よりも低額の研究費で計画遂行が可能であったため 使用計画:令和2年度に計画しているマウスモデルでの上皮増殖因子受容体の検討に使用する予定である。
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