研究課題/領域番号 |
19K09985
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
南場 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
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研究分担者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EGF / 上皮増殖因子 / EGFR / 上皮増殖因子受容体 / ベタセルリン / 実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎 / EAU |
研究実績の概要 |
2019年、2020年度にはぶどう膜炎群およびコントロール群として健常人について、血清中の上皮増殖因子(EGF)受容体およびそのリガンドであるエピレグリン等の濃度をマルチプレックス法にて測定し、ぶどう膜炎群ではエピレグリンならびにその他のEGF受容体のリガンド(アンフィレグリン、ベタセルリン、TGF-アルファ、HB-EGF)がコントロール群と比べ有意に上昇していることを報告した。2021年度は、マウス実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)の網脈絡膜を摘出し、網脈絡膜組織のmRNAからcDNAを作成し、マイクロアレイ法にて関連する分子の発現の評価を行った。EGF受容体のリガンドであるエピレグリン、アンフィレグリン、EGFが上昇していること、逆にEGF受容体は発現が低下していることが示された。 2022年度はマウスEAUの網脈絡膜を摘出し、網脈絡膜組織のmRNAからcDNAを作成しqPCRでEGF受容体とリガンドの発現を定量し、EGF受容体のリガンドであるベタセルリンがEAUマウスにおいてコントロールマウスと比べ優位に上昇していることが示された。また、そのほかのリガンドやEGF受容体の発現量に優位な差は認められなかった。このことからベタセルリンがマウスEAUの炎症の機序に関与していることが示唆された。また、EGFR受容体チロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブをEAUマウスの腹腔内に投与してぶどう膜炎が抑制されるかどうかの検討を行った。ゲフィチニブを投与したマウスは溶媒であるDMSOのみを投与したコントロールマウスに比べて優位に炎症が抑制されたことが示された。これらのことからベタセルリンを介したEGFR回路がマウスEAUの炎症に関与していることが示唆された。
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