研究課題/領域番号 |
19K09986
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 理恵 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70746388)
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研究分担者 |
蕪城 俊克 自治医科大学, 医学部, 教授 (00280941)
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
川村 猛 東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (70306835)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 長鎖ノンコーディングRNA / 急性網膜壊死 / 単純ヘルペスウイルス1型 / U90926 |
研究実績の概要 |
急性網膜壊死(ARN)は、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を含むαヘルペスウイルス亜科に属するウイルスよって引き起こされる。ウイルスの中には、宿主由来の長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)を自らの増殖に活用しているものがある。そこで、本研究ではARNに対する抗ウイルス療法の新規治療標的としてlncRNAに着目した。 初めにHSV-1を感染させたマウス視細胞株(661W細胞)を用いて、感染後に発現誘導される宿主由来lncRNAを網羅的に同定した。これらのlncRNAの中で、マウスARNモデルの網膜で高発現していたU90926に着目した。HSV-1を感染させたU90926ノックダウン細胞では、HSV-1のDNA複製および増殖が顕著に抑制された。また、HSV-1感染に対するU90926ノックダウン細胞の生存率は、対照細胞に比べて有意に増加した。 さらにU90926のヒトにおけるホモログ遺伝子として、2つの転写物(1,955塩基と592塩基)をもつAC110615.1遺伝子(ヒトU90926遺伝子)を同定した。HSV-1が原因ウイルスのARN患者の硝子体液中で、ヒトU90926 long transcript(1,955塩基)が特異的に著明に上昇し、転写物量は硝子体液中のウイルス量ならびに最終矯正logMAR視力と強い正の相関があることがわかった。 これらの結果から、lncRNA-U90926はHSV-1が原因ウイルスのARNに対する抗ウイルス療法の新規治療標的になり得ることが示唆された。
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