本研究において、我々独自の遺伝性網膜変性症患者コフォートの全エクソーム解析データやマウスの網膜における網羅的遺伝子発現プロファイルデータ等から、網膜で発現するが、その機能が未解析の遺伝子をスクリーニングし、22個のIRDsの原因候補遺伝子を同定することに成功した。(但し、そのうちの1つに関しては、実験期間中に網膜色素変性症の新規原因遺伝子として他のグループから報告されたので解析対象から除外した。)21個の候補遺伝子について、in situ hybridizationにて野生型マウス網膜における時空間的発現プロファイルを検討した。その発現パターンから重みづけを行い、免疫組織化学的手法にて、タンパクの網膜内局在解析を行った。更に、ゼブラフィッシュとマウスをモデル動物として用いて、遺伝子改変モデルの作成を順次開始した。研究期間内には、3系統のノックアウトゼブラフィッシュを確立し、2系統のノックアウトマウスを確立した。更に、2系統のノックアウトゼブラフィッシュ1系統のノックアウトマウスを作成中である。本研究で得られたモデル動物を使用して、令和4年度に科研費基盤Cで採択された「遺伝性網膜変性症の新規原因遺伝子の同定とその網膜変性の分子機序の解明」にて、更なる解析を進めるとともに、継続してノックアウトゼブラフィッシュ及びノックアウトマウスを作出していく。これにより遺伝性網膜変性症の新規原因遺伝子の同定を引き続き目指す。
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