研究課題/領域番号 |
19K09998
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
森 圭介 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90251090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 黄斑円孔 / 網羅的遺伝子解析 / 遺伝子発現量解析 / 光干渉断層計 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは、モンタージュの手法を用いた広角OCT画像を用いて、MHの硝子体皮質はピンと張って緊張しているのではなく、緩んで皺壁を形成してること、眼球運動前後の同一部位を撮像したOCTの重ね合わせ画像では、硝子体皮質は幾重にもかさなりあっており、硝子体皮質が眼球運動により容易に移動することを証明した。これらのことから、MHでは、後部硝子体皮質の細胞増殖等による接線報告の収縮など、今までの定説のような硝子体側の病変ではなく、網膜に病変の首座があることが示唆された。MHの好発年齢が、正常PVDの好発年齢と近似していることからも、正常PVDの進行過程において、網膜側の病因、例えば、①後部硝子体と網膜内層の強い接着力、②網膜の脆弱性(特にMuller等のGlia支持組織の脆弱性)などがあると考えれば一元的に解釈できる。MHは女性に多いこともあり、性ホルモンや結合織・細胞接着因子等に関与する部分の特異性などの作業仮説に至った。 本年度は、一期目標数に達したため、Preliminaryながら、GWASを行うことができ、上述した仮説と合致する、細胞接着因子がヒットした。10e-7レべルのものであり、今後症例数を増やすことで有望な結果になる可能性がある。これは疾患概念を大幅に改める可能性を示唆するものであり、このPositiveな結果に勢いをつけ、さらにサンプル数を増やし研究を進めて行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サンプル数は200と少ないながら、今回一期目としてGWASを施行した。その結果、Chromosome 6にある細胞接着因子の一つに10e-7レベルのP値のつく疾患感受性遺伝子を同定することができた。またその関連遺伝子群においても近い有意性をもった関連する可能性の高い遺伝子がいくつかヒットしており、さらにサンプル数を増やすことで、かなり自信をもって疾患との関連を示すことのできる遺伝子を報告できる可能性が高くなってきた。さらなるサンプル取集もしくはUKbiobank等の活用により、さらに結果を確実なものと証明する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後行う手順を以下に記載する。 ①サンプル収集:各施設において全血をEDTA-2Na管に10mL採取し、-80℃で凍結させる。当院研究室がサンプル集積地となっており、ここでDNA抽出と血漿の分離し、2種類のサンプルを保存する。今回のPositiveな結果を各施設に連絡し、さらなる協力を依頼する。 ②硝子体手術サンプルからのRNA抽出:MHの硝子体手術時の硝子体液・前房水と白内障手術時の前房水からRNAから抽出。当該施設で行う。 ③追加サンプルについて再度GWASおよびRT-PCRでReplicationを行う ④RNA-seqを当院にて施行(外注)
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究は他施設からのサンプル供給が安定しないと研究に遅れを来す。当初の予定と異なり、COVID-19の蔓延の影響で学会・研究会等が中止やオンライン化し、一時期は外来も通常の運用が不可能となった施設が多く、研究継続への大きな障壁となった。最近になりやや持ち直し、サンプルが集まってきたため、先日GWASを行い、報告した通り一定の結果が出たが、その金額の請求および清算が今年度には間に合わなくなってしまったため、延長を申請し、次年度使用が区が生じることとなった。既に、研究は実施しているため、支払いは近日中(平成4年度早期)に行われる予定である。
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