研究課題/領域番号 |
19K10003
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
平田 憲 久留米大学, 医学部, 客員教授 (60295144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 実験近視 / 脈絡膜 / FIB/SE / 非血管性平滑筋 |
研究実績の概要 |
脈絡膜の非血管性平滑筋細胞 (NVSMCs) は脈絡膜厚の変化に関わると考えられるが、その三次元構造については不明な点が多く、近視発生における関与も明らかではない。 本研究では、申請期間にヒヨコの実験近視眼を用いて①正常組織のNVSMCsとlacunaeの構造を明らかにすること、②実検近視におけるNVSMCsとlacunaeの構造変化を明らかにすること、③種々の薬剤によるNVSMCsとlacunaeへの影響と近視発生メカニズムへの関与について明らかにすることである。2020年度は、前年度に引き続き、ヒヨコ脈絡膜NVSMCs/lacunaeの構造について検討を行った。灌流固定あるいは浸漬固定後、α-smooth muscle actinに対する免疫染色とリンパ管内皮マーカーであるPROX-1およびpodoplaninに対する染色を試みた。α-smooth muscle cell actinは血管平滑筋のみならず脈絡膜間質に散在するNVSMCsを描出した。一方PROX-1の局在はヒヨコ脈絡膜内層の毛細血管板の一部のみに見 られ、リンパ管様構造は染色されなかった。 podoplaninに対する免疫染色も同様に染色されなかった。 FIB/SEMを用い、脈絡膜毛細血管板、脈絡膜間質、lacunae、強膜-脈絡膜移行部の脈絡膜微細構造の解析を行った。対象眼および実験近視眼(近視誘導後2週間)の間に明らかな細胞の配列、細胞間接合に差異は見られなかった。SEMを用いた脈絡膜毛細血管版におけるfenestraeの数においても明らかな差は見られなかった。Lacunaeはリンパ管特有のマーカーでは明瞭な染色は見られなかったが、SEMによる内腔の直接観察では、非常に薄い一層の内皮細胞による裏打ち構造は明らかであった。細胞間隙は一部にgap構造が見られ、今後更に解析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、前年度に引き続きNVSMCsとlacunaeの対象眼と実験近視眼の構造の比較が目的であった。 Half-Karnovsky 溶液にてヒヨコを灌流固定したのち、眼球を摘出し、脈絡膜をふくむ組織切片あるいはwhole-mount標本を作製し、脈絡膜内に存在する細胞群、 とくに脈絡膜血管とNVSMCsの免疫染色による局在、相互関係を観察した。 1. whole-mount標本ではα-smooth muscle cell actinをマーカーとし、NVSMCsを観察し た。 2. FIB/SEM用にエポン包埋標本も同時に作製し、NVSMCsの三次元的微細構造解析をおこない、さらに脈絡膜血管およびlacunae構造との連続性の有無を検討できた。 3. vibratome切片を作製し、走査電顕にて脈絡膜毛細血管内皮のfenestraeおよびlacunae内皮の細胞間接着構造を観察できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、NVSMCsとlacunaeの正常構造の解析を進めていくとともに、さらに実検近視眼の脈絡膜のFIB/SEMによる時系列変化の解析をすすめる。 実検近視眼における脈絡膜のNVSMCs/lacunaeの構造変化につ いてさらに解析をすすめる。 次年度ではさらに長期的な脈絡膜変化(lacquer cracksをはじめとする、近視特有の病変発生時の脈絡膜の構造変化)についても検討を加える NVSMCsの立体構築における対照眼と近視眼の差異を検証し、さらにNVSMCsと脈絡膜血管との位置関係、相互関係についてもさらに解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 2020年度の実験計画のなかで、実験計画の遂行上、次年度に変更した部分があり、試薬および実験動物搬入費の一部の計上を行わなかったこと。 2. 現在投稿中の論文の掲載費用を次年度に計上予定であること。
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