研究課題/領域番号 |
19K10005
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
窪田 吉孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10375735)
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研究分担者 |
黒田 正幸 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00253005)
三川 信之 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (40595196)
田中 知明 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脂肪細胞 / エピジェネティクス / マシーンラーニング |
研究実績の概要 |
皮下脂肪組織には比重の違いを利用して分離できる2種類の細胞群が存在する。コラゲナーゼ処理ののち遠心分離した浮遊層からは天井培養由来前駆脂肪細胞を、沈殿層からは脂肪組織由来幹細胞をそれぞれ培養できる。両者は長期継代後も分化能や血管新生能の違いを維持しており、これまでそのメカニズムと脂肪移植における意義は不明だった。これらの分化能の違いのベースとなっているものとして我々はエピジェネティクスに注目した。エピジェネティクスはDNA配列を変えずに細胞機能の違いを生むメカニズムである。エピジェネティクスを修飾する薬剤が各種開発されているが癌の治療を目的とした研究・開発が主眼におかれており脂肪細胞やその分化に対する効果は不明である。われわれは脂肪分化遺伝子のエピジェネティクス状態を、その遺伝子が発言しやすいと考えられる状態にすることで脂肪分化能を向上させることができるのではないかと考えた。そこで、エピジェネティクス調節薬のひとつである脱メチル化薬の天井培養由来前駆脂肪細胞と脂肪組織由来幹細胞の脂肪分化に対する効果を検討した。結果、脱メチル化薬によって、DNA全体のメチル化率は減少するが、細胞として脂肪分化能が上昇するわけではないことが明らかになった。これは脂肪分化を抑制する遺伝子群も含めてすべて脱メチル化されたことで全体として期待した効果とはならないためと考えられた。この問題を解決するため、先端的手法として報告されている選択的エピジェネティクス調節法が有効なのではないかと考えた。脂肪分化能を向上させるにはこれらの手法を用いてより洗練されたエピジェネティクス調節を行う必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養細胞の採取と培養が想定より順調だったため
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今後の研究の推進方策 |
脂肪組織由来細胞の脂肪分化におけるエピジェネティクス調節薬の効果と脂肪移植に対する効果は不明であるため移植を想定した実験系で解析する
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次年度使用額が生じた理由 |
初代培養細胞の獲得と維持に要する費用が想定を下回ったため
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