研究課題/領域番号 |
19K10016
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
松峯 元 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80598144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 顔面神経 / 神経再生 / 人工神経 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
吸入麻酔下に8週齢ルイス系ラットの左耳後~下顎下縁切開にて顔面神経本幹と舌下神経を露出した。次に顔面神経本幹をligature clipにて圧挫し左顔面神経不全麻痺モデルを作成した。そしてラット鼠径部皮下脂肪を0.075%コラゲナーゼ処理して得られるstromal vascular fraction(SVF)から通常の付着培養にて継代したASCsを人工神経内に1×105含有したASCsハイブリッド型人工神経(ASCs群)を作成した。このハイブリッド型人工神経に人工神経単体群を加え、顕微鏡下に顔面神経本幹と舌下神経間を端側縫合によるHypoglossal-facial nerve interpositional-jump graft (IPJG)を行った。人工神経を用いた端側縫合は過去に我々が報告した縫合法に準じた。さらに別群として長さ7mmの同側大耳介神経を用いて顔面神経本幹~舌下神経間にIPJGを行う自家神経群を作成し、さらに圧挫のみを行うコントロール群を作成した。すべての端側縫合はepineural window techniqueを用いて行った。術後13週で顔面神経スコアー及び複合誘発筋電図、さらにトルイジンブルー染色、電子顕微鏡撮影、逆行性トレーサーを用いた群間の組織学的、生理学的比較検討を行った。現在データ収集は終了し統計解析を行っている。 また新たな顔面神経麻痺モデルとしてラットcross face nerve graftモデルを確立した。左右の顔面神経下顎縁枝を切離し、3cmの坐骨神経を自家神経移植片として架橋するモデルを作成し、神経再生を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当施設では動物実験設備が非常に充実しており、実験動物の術中死等の問題がほとんど発生しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
各移植モデルから採取したデータの統計学的解析を行い、群間の比較検討を行う。小動物実験で得られたデータをもとに大動物実験へ移行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 人工神経移植を行ったラットの中に神経再生を認めることができなかった個体が存在し、移植実験計画に数週間のずれが生じてしまった。このため採取した再生神経の検体を電子顕微鏡解析へ外注依頼する日程も同様に数週間のずれが生じたため次年度使用額が発生する結果となった。 (使用計画) 遅延した検体の外注依頼を令和2年度中に提出する。
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