研究課題
bFGF投与した皮膚の傷痕における瘢痕抑制にmicroRNA (miRNA)の関与を想定し、bFGFで処理したラット皮膚線維芽細胞を網羅的に解析し、miRNA146b-5pを選定した。miRNA146b-5はラットPDGFRαを標的化してPDGFRαの発現を抑制する。ラット皮膚潰瘍にmiRNA146b-5 mimic投与すると7日目の開放創面積と10日目の瘢痕面積が減少した。逆にinhibitor投与では7と10日目の開放創面積と10日目の瘢痕面積が増加した。miRNA146b-5発現細胞の可視化解析からmiRNA146b-5陽性細胞は創部の脂肪組織に特異的に発現していることが認められた。さらにmiRNA146b-5とExosome marker CD81の二重染色から脂肪組織の間質細胞にmiRNA146b-5とCD81の共発現が確認された。したがって創部の脂肪組織ではExosome CD81を介したmiRNA146b-5の取り込みが考えられ、miRNA146b-5の主な標的細胞は脂肪間質細胞であることが判明した。マウス皮膚潰瘍では脂肪組織の前駆細胞が筋線維芽細胞に分化して線維化を実行することが報告されている。さらに脂肪細胞の前駆細胞に発現するPDGFRαは筋線維芽細胞への分化を促進することが報告されている。したがって脂肪組織に取り込まれたmiRNA146b-5pは、脂肪組織の前駆細胞に発現するPDGFRα発現を抑制し、筋線維芽細胞への分化を抑制することで脂肪組織における筋線維芽細胞を介した瘢痕線維化を抑制することが示唆された。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Adv Wound Care
巻: - ページ: -
10.1089/wound.2021.0037.
Mol Genet Metab Rep.
巻: 31 ページ: 100849
10.1016/j.ymgmr.2022.100849.
J Invest Dermatol.
10.1016/j.jid.2021.11.037