研究実績の概要 |
今年度は昨年行ったマウス下肢の坐骨神経を用いた軸索融合モデルマウスの神経切断と再縫合による再疎通後の神経再結合の回復過程に関する予備実験をもとに、実験を行った。具体的にはマウス下肢神経(坐骨神経)を用いて、①キャットウォークを用いたsciatic scoreによる歩行機能評価②神経刺激装置を用いて筋電図および伝導速度の計測による神経機能評価③神経標本による形態学的評価の3評価を行った切断前に①および②を行い、切断後の神経変化について2週間後および4週間後に①~③の評価を同様に行った。軸索内微小管上を走行するキネシン(KIF1b)によって運ばれるミトコンドリアを二光子顕微鏡にて観察し、軸索内の細胞骨格の再構築についてミトコンドリアの軸索輸送の継時的変化を含めて観察コントロールデータは学内のコロナ対策に関連し、今年度は行えなかった。 融合法の検討としてHVJ(センダイウィルス)による融合法を予定していたが、近年PEGによる臨床研究の報告(Paskal AM,J Plast Reconstr Aesthet Surg. (2020), Paskal AM et al. Int J Mol Sci. (2019))があり、PEGを用いた融合法についても比較実験のための準備とまた電気融合法による神経融合法の検討も同時に行った。PEGは研究報告を参考にまたHVJキットと電気融合装置さらに軸索間を埋めるようにリポソームを追加して融合することとした。 実際の結果としては、コントロール群と融合実験群で明らかな有意差を認めず、現時点では軸索融合がなされていないと判断した。
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