研究課題/領域番号 |
19K10035
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荒牧 典子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80365311)
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研究分担者 |
岡部 圭介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50445350)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | KIAA1199 / hybid / 瘢痕 / ケロイド |
研究実績の概要 |
本研究では、2013年にヒアルロン酸分解に関与する新たな分子であることが報告されたIAA1199(HYBID)が、瘢痕形成やケロイドにおいてどのような意義をもたらすのかを検討する。これまで、生体内のヒアルロン酸の分解には、ヒアルロン酸受容体(CD44)やヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase:HYAL1-3)などの分子が重要な役割を果たすことが報告されているが、これらの系を介さない新なヒアルロン酸分解を司るKIAA1199分子が報告された(Yoshida H. et al. PNAS. 2013)。そこで我々は、KIAA1199ノックアウトマウスを用い、瘢痕モデルマウス作成・検討し、更にヒトの瘢痕やケロイド組織を用いたKIAA1199の発現検討を並行して行い、ケロイドや瘢痕におけるKIAA1199の役割を検討することを目的とした。採取したヒト瘢痕、ケロイド組織におけるKIAA1199の発現をreal time PCR法にて発現検討を行った。ΔΔCT法にて解析を行い、同一検体の辺縁正常部を1とし病変部での発現量を検討した。13例中10例でケロイド病変部ではその発現の上昇を認めた。また、免疫染色像でもケロイド病変部でKIAA1199の高発現が認められた。成獣の創傷治癒過程の解析では、day1およびday4において、WT群に比べHYBIDKO群では創収縮が有意差を持って早い傾向にあった。Day7以降での創収縮に有意差は認めなかった。αSMA染色にて筋線維芽細胞の出現を検討したところ、day4およびday7ではWT群およびHYBIDKO群で有意差はなかったが、day10ではHYBIDKO群における発現が増加して、逆にday14ではHYBIDKO群では発現が減少し、WT群における発現が増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19感染状況に応じて、ケロイドの手術件数が減り、予定数が集まらなかったことと 瘢痕モデルにおいての解析がまだ進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は瘢痕モデルの解析を進めて行き、またヒトサンプルは手術件数も戻ってきているため、遂行が可能と考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
瘢痕モデルマウス実験の進行が遅れたため、マウスの購入と抗体購入費、試薬などの支出が減ったため。2022年度のマウスの購入、飼育費と抗体購入費に使用予定である。
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