研究課題/領域番号 |
19K10036
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
飛田 護邦 順天堂大学, 革新的医療技術開発研究センター, 先任准教授 (10599038)
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研究分担者 |
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, 再生医療センター長 (70213486)
水野 博司 順天堂大学, 医学部, 教授 (80343606)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヒト体性幹細胞 / 細胞培養法 / 細胞の寿命制御 |
研究実績の概要 |
同種細胞を用いた再生医療を多くの患者に提供するためには、医療に応用可能な細胞を十分量確保することが必要である。また供給される細胞は、より正常に近くかつ安全な状態で臨床の場に提供されることが要求される。そこで有限とされている細胞の寿命をコントロールして寿命を延長させ、必要充分な細胞数を確保することで、これら課題の解決策を探索することが本取組の最終目標であり、本研究の目的は、細胞の寿命を制御・延長させ、腫瘍化せず、安全な細胞を確保することである。 現時点において明らかにされている細胞寿命の制御に関わる経路は大きく二つが考えられており、一つはテロメアの短縮に伴い、ataxia telangiectasia mutated (ATM) が活性化され、それに伴ってATMの下流に位置する癌抑制遺伝子としてよく知られているp53、さらに下流のp21も活性化され、さらにp21はサイクリンDを不活性化して、RBのリン酸化(活性化)が阻害されて、細胞は増殖しなくなることが古くから知られている。 本研究ではヒトパピローマウイルス(HPV)由来のE6E7遺伝子、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)をウイルスベクター、PTDタンパク、RNA干渉法を用いて多分化能を有するヒト由来間葉系幹細胞や実質臓器を構成するヒト体細胞の機能を損なわずに寿命延長させる方策を探索した。また間葉系幹細胞を用いて寿命延長の機構の詳細を明らかにしていく中で、細胞培養時に用いる培養液及び培養条件の検討を実施した。 今後の課題として、分化後移植された細胞が生体内でうまく機能するかどうか、腫瘍化しないかどうかの安全性、有効性を詳細に検討するとともに、細胞のDNA複製時においてもテロメアの長さを維持し、かつ遺伝子発現も定常化したままで細胞分裂を続けていくためには、テロメア短縮を除いたストレスの本態を解明することが重要であると考えられた。
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