研究課題/領域番号 |
19K10037
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
此枝 央人 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60598142)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / 脂肪移植 / 動物モデル / アディポカイン / 遊離脂肪移植 / 鼠経皮弁 |
研究実績の概要 |
本研究での学術的問いは創傷治癒過程において脂肪組織がどのように関与しているのかとい うことである.この10年ほどの間、脂肪注入移植や脂肪由来幹細胞による創傷治癒促進作用についての研究が盛んである。しかし脂肪注入による移植後には血流が不足しており移植組織が萎縮してしまう。この脂肪組織萎縮を予防しながら脂肪細胞の創傷治癒促進作用を解明するためには顕微鏡下手術を併用した脂肪移植を行うことが必要である。さらに遺伝子改変ラット(GFPラット)から採取した脂肪を創傷部直下に移植することで皮膚や皮下組織など創部周囲組織からの創傷治癒と脂肪由来幹細胞を含めた脂肪由来細胞の創傷治癒を区別化することができることに着目した。脂肪移植により創傷治癒促進作用の有無を確認すること。免疫蛍光染色にて移植脂肪由来分化細胞の種類の同定を行うことにより移植脂肪及びレシピエント由来の組織による創傷治癒過程における関与を明らかにすることが今回の主要な研究目的である。また顕微鏡下手術により多量の脂肪を移植することが出来るためアディポカインの測定、脂肪代謝の変化の観察に十分な組織が確保できるため皮弁移植前後の組織からのサイトカインの検討を行い脂肪組織からの創傷治癒過程を解明しようと思う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SDラット間での同種移植には成功しており現在創傷モデルを作成している。ところが経過観察中に脂肪壊死をきたすことがつづいている。そのため脂肪移植から創傷モデル作成までの期間の設定を行っているところである。当初は脂肪移植と同時に創傷を作成していたがうまくいかず1週間後、2週間後に作成しているがやはり経過中に鼠経皮弁全体が壊死に至る経過をたどっている。そのため鼠経皮弁の血流が十分安定した時期を設定する必要が生じている。 これについての検討が終わり創傷モデルの調整が行った後にSD-GFPラットからSDラットへ脂肪移植し創傷治癒を確認することとなる。
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今後の研究の推進方策 |
先ほど述べた通り創傷モデルの作成が終了後より組織を採取し創部下床からの脂肪遊走の有無の確認を行う。また移植前脂肪をコントロールとして脂肪移植後、創傷治癒後の脂肪から採取したRNAシークエンスを行い脂肪の創傷治癒への組織関与の詳細を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染の流行のため学会参加がなかったころから旅費に用いる予算を使用しなかったことが一因にある。また当施設の動物実験施設の移転があり研究の進行の遅れが生じていることも予算執行が遅れいている原因である。 今年度はRNAシ-クエンスを行う予定がありその予算に充てる予定である。
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