生体内に近い条件下で創傷治癒機構の解析を行うため,血管内皮細胞と線維芽細胞を用いた灌流培養モデル系を確立した。この系を用いて血管損傷修復に対するエクソソームの作用を検討したところ,いずれの細胞由来のエクソソームも損傷修復を促進することを明らかにした。さらに損傷を受けた血管内皮細胞由来のエクソソームは正常な内皮細胞由来のエクソソームより損傷修復を遅らせることから,エクソソームが分泌細胞の状況に応じて損傷修復過程を制御していることがわかった。また,プラスミノーゲンは血管内皮細胞の増殖と遊走を促進し,エクソソームは遊走の方向性を制御することで協調的に損傷修復を促していることが明らかになった。
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