研究課題/領域番号 |
19K10051
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
佐藤 慶太郎 朝日大学, 歯学部, 准教授 (10549041)
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研究分担者 |
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
設楽 彰子 朝日大学, 歯学部, 講師 (30508718)
大野 雄太 朝日大学, 歯学部, 助教 (30796644)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミラーゼ / 脂質ラフト / MARCKS / 耳下腺 / 膵外分泌腺 / 腺房細胞 / 開口放出 |
研究実績の概要 |
外分泌腺細胞の働きの一つに開口分泌がある。しかし、異なる外分泌腺との間で共通する仕組みに不明な点が残っている。実際、アミラーゼを分泌する耳下腺と膵臓において、共通性は分かっていない。 耳下腺と膵外分泌腺のアミラーゼ分泌においては、細胞内シグナルがcAMP系とCa2+系に異なるにも関わらずmyristoylated alanine-rich C kinase substrate (MARCKS) のリン酸化が両外分泌腺に共通して起こることが示唆されている。 2019年度は、MARCKSが局在する脂質ラフトは分泌刺激によりどのような挙動を示すのか、検討した。ラット耳下腺腺房細胞にアミラーゼ分泌刺激であるイソプロテレノールを作用させたところ、MARCKSの一部が脂質ラフトから離脱する様子を検出した。一方、脂質ラフトマーカーであるGM1a自体に大きな変動は観察されなかった。ラット膵外分泌腺腺房細胞にアミラーゼ分泌刺激であるコレシストキニンを作用させたところ、耳下腺と同様にMARCKSの一部が脂質ラフトから離脱する様子を検出した。一方、脂質ラフトマーカーであるGM1a自体はやはり大きな変動は観察されなかった。耳下腺におけるcAMP系、膵外分泌腺におけるCa2+系、両細胞内シグナルにおいて同傾向の結果が得られた。さらに膵外分泌腺においてcAMP系の細胞内シグナルからアミラーゼを分泌するグルカゴン様ペプチド-1刺激を行ったところ、同様の結果を得た。 以上より、MARCKSの脂質ラフトからの離脱は脂質ラフト自体の機能を変えることなく、同じ脂質ラフトに存在する何らかの機能分子を調節していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耳下腺腺房細胞、膵外分泌腺腺房細胞の両アミラーゼ分泌で、セカンドメッセンジャーの異なる細胞内シグナル伝達において、脂質ラフトに局在するMARCKSの関与に共通性を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、MARCKSが局在する脂質ラフトの性状をSNARE (Soluble NSF Attachment protein [SNAP] Receptors; 可溶性NSF結合タンパク質受容体)の発現を軸に検討する。また、脂質ラフトを構成する脂肪酸との関連性も併せて検討する。
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