研究課題
CD302はC型レクチン様ドメインと呼ばれる特徴的な構造を持つ膜タンパク質の一種であるが、マクロファージや樹状細胞に発現し、その遊走に関与していることや肝細胞においてC型肝炎ウイルスの侵入に関与している可能性が示唆されている他は、ほとんどその分布や機能について知られていない。本研究では骨芽細胞様細胞株においてCD302の発現が見られていたことから骨芽細胞の分化や遊走、接着における機能を解析してきた結果、細胞密度によってCD302発現が促進されることを見いだした。さらに骨芽細胞株においてCD302の発現を抑制すると細胞形態が紡錘状に変化した。さらに、CD302発現抑制によりAktやFAKの活性が低下し、細胞死を伴う細胞数の減少が起きることなどを見いだしてきた。併せて、この時CD302発現抑制細胞では遊走も抑制されていることを示した。2023年度は骨芽細胞におけるCD302の発現低下による長期的な影響を観察するため恒常的にCD302の発現が抑制されたマウス骨芽細胞株を作成した。これを骨化誘導培地で長期培養したところ、CD302発現抑制株において骨化の指標であるアルカリフォスファターゼ活性およびアリザリンレッドによる石灰化部分の染色が低下していることが分かった。また、未分化な細胞におけるCD302の機能について明らかにするため間葉系幹細胞株であるC3H10T1/2細胞においてCD302の発現を抑制した状態で脂肪細胞への分化誘導培地で培養すると、脂肪細胞への分化が促進されることも明らかになった。
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Int J Mol Sci.
巻: 24 ページ: 17294
10.3390/ijms242417294.