研究課題/領域番号 |
19K10054
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高 靖 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40585882)
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研究分担者 |
藤井 慎介 九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 上皮細胞極性 / p130cas |
研究実績の概要 |
本研究では, p130Cas floxマウスとK14-Creマウスを交配し上皮組織特異的p130Cas欠損(p130Cas cKO)マウスを作製し、唾液腺の形態形成および機能発現におけるp130Casの生理的役割について検討を行った。 唾液腺においてp130Casの発現する細胞を同定するために、6週マウスを用いて免疫組織染色を行った。p130Casは顎下腺の顆粒性導管を含む導管細胞及び舌下腺の導管細胞、筋上皮細胞に発現していることがわかった。また、野生型およびp130Cas cKOマウスの顎下腺の組織学的解析を行ったところ、p130Cas cKOマウスでは顎下腺の顆粒性導管部の萎縮が見られ、顆粒性導管の導管細胞の細胞核が野生型マウスと違って、管腔側に寄っていることが分かった。更に、顆粒性導管細胞の分泌顆粒に含まれるEGFがp130Cas cKOマウスで顕著に減少したことが明らかになった。また、p130Casの欠損することによって、上皮細胞表面に発現するE-カドヘリンが細胞質への移行やシスゴルジマトリックスタンパク質GM130の局在の乱れが観察された。アポトーシスを検出するTUNEL染色を行い、野生型マウスと比べてp130Cas cKOマウスの顎下腺ではアポトーシスが多く検出された。以上の結果より、p130Casが顎下腺の顆粒性導管細胞に発現し、顆粒性導管細胞の極性を制御することをよってマウス顎下腺の機能発現に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた実験計画通り, p130Cas cKOマウスの表現型の解析がうまく進んでいた。また、唾液腺においてp130Casの発現する細胞も同定された。本年度の成果は本研究における仮定を肯定するものであり、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
顆粒性導管上皮細胞の極性を制御する細胞シグナル伝達にp130Casはどのように関与するのを検討する。顎下腺導管細胞の初代培養を用いて、p130Cas下流分子を選別しながら、関連する細胞シグナル伝達の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、毎年参加していた基礎系の学会がweb 開催になり、参加していなかったため、出張旅費の支出が無かった。また、新型コロナウイルスの影響で、研究室が一時期閉鎖してたため、マウスの交配が大幅に遅れて、外注で行う予定していた唾液成分の分析にかかる費用の支出が次年度に回した。
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