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2021 年度 実施状況報告書

唾液腺の発生におけるp130Casの生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K10054
研究機関九州大学

研究代表者

高 靖  九州大学, 歯学研究院, 助教 (40585882)

研究分担者 藤井 慎介  九州大学, 歯学研究院, 講師 (60452786)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード唾液腺 / p130Cas
研究実績の概要

本研究は上皮組織特異的p130Cas欠損(p130Cas cKO)マウスを用いて、唾液腺の形態形成におけるp130Casの生理的役割の解明を目指す。
当時の計画通り、胎生13.5日の野生型マウスおよびp130Cas cKOマウスの唾液腺原基を摘出し、器官培養を行った。経時的な形態変化と腺房細胞、導管細胞の分化マーカーのmRANの発現を比較したが、野生型マウスとp130Cas cKOマウス間の違いがなかった。
抗p130Cas抗体を用いて免疫組織染色を行い、顎下腺及び舌下腺におけるp130Casの発現は腺房部ではなく顆粒性導管を含む導管部に特定することができた。6週齢の野生型マウスおよびp130Cas cKOマウスの顎下腺の組織学的解析を行ったところ、p130Cas cKOマウスでは顎下腺の顆粒性導管の大きさが小さいことが分かった。顆粒性導管に特別に含まれるペプチドであるEGFやNGFのmRNAの発現はp130Cas欠損することによって著明に減少したことが分かった。しかし、顆粒性導管以外の導管部に発現するケラチン19のmRNA発現の変化はなかった。また、舌下腺において明らかな違いは認めなかった。マウス顎下腺の顆粒性導管の発達にアンドロゲン経路が関わっているため、血液中のテストステロン量を調べたが、野生型マウスとp130Cas cKOマウス間の違いがなかった。5-EdU(5-ethynyl-2’deocyuridine)を用いて細胞の増殖を調べたところ、p130Cas cKOマウスの顎下腺で5-EdUの取り込みが減っていることが分かった。野生型マウスと比べて、p130Cas cKOマウスから唾液の分泌量が減り、唾液に含まれるEGFやアミラーゼの量も減少していることが分かった。唾液腺の成分の分析を行い、唾液中のカルシウム、ナトリウム、カリウム、無機リンなどの無機成分の違いがなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染症拡大のため、一部の試薬と消耗品の納品が遅れたため、実験の進行が遅れた。

今後の研究の推進方策

マウス顎下腺の顆粒性導管の発達はアンドロゲン経路より制御されるため、p130Casがアンドロゲン経路の調節に関与する可能性を検討する。また、p130Casの欠損より、顆粒性導管細胞の分泌小胞の形成が影響されるかどうかについて検討する。p130Casと小胞輸送の関係を明らかにする。
結果をまとめて論文発表する。

次年度使用額が生じた理由

今年度参加した学会はウェブ開催となり、出張旅費の支出がなかった。また、論文の投稿は遅れているため、雑誌掲載に使用する予定の費用は次年度に繰り越すことにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Phospholipase C-related but catalytically inactive protein acts as a positive regulator of insulin signalling in adipocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Gao J, Mizokami A, Takeuchi H, Li A, Huang F, Nagano H, Kanematsu T, Jimi E, Hirata M.
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: 135 ページ: -

    • DOI

      10.1242/jcs.258584.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Deletion of epithelial cell-specific p130Cas impairs the maturation stage of amelogenesis2022

    • 著者名/発表者名
      Inoue A, Kiyoshima T, Yoshizaki K, Nakatomi C, Nakatomi M, Ohshima H, Shin M, Gao J, Tsuru K, Okabe K, Nakamura I, Honda H, Matsuda M, Takahashi I, Jimi E.
    • 雑誌名

      Bone

      巻: 154 ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.bone.2021.116210.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Bone morphogenetic protein induces bone invasion of melanoma by epithelial-mesenchymal transition via the Smad1/5 signaling pathway2021

    • 著者名/発表者名
      Gao J, Muroya R, Huang F, Nagata K, Shin M, Nagano R, Tajiri Y, Fujii S, Yamaza T, Aoki K, Tamura Y, Inoue M, Chishaki S, Kukita T, Okabe K, Matsuda M, Mori Y, Kiyoshima T, Jimi E.
    • 雑誌名

      Laboratory Investigation

      巻: 101 ページ: 1475-1483

    • DOI

      10.1038/s41374-021-00661-y.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] マウス唾液腺の機能発現におけるp130Casの役割2021

    • 著者名/発表者名
      高靖, 李傲男, 藤井慎介, 清島保, 自見英治郎
    • 学会等名
      第94回日本生化学大会
  • [学会発表] p130Cas is involved in the development of granular convoluted tubule of submandibular gland in mice2021

    • 著者名/発表者名
      Aonan Li, Jing Gao, Shinsuke Fujii, Tamotsu Kiyoshima, Eijiro Jimi
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] The role of serine 536 phosphorylation of NF-kB p65 in the bone loss and obesity in postmenopausal women2021

    • 著者名/発表者名
      Fei Huang, Jing Gao, Eijiro Jimi
    • 学会等名
      第63回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2022-12-28  

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