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2019 年度 実施状況報告書

骨細胞を基軸としたリン依存性オートファジー誘発型骨老化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K10057
研究機関長崎大学

研究代表者

佐々木 宗輝  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)

研究分担者 稲葉 菜緒  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (00814170)
右藤 友督  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10816680)
黒嶋 伸一郎  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (40443915)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード骨細胞 / 老化 / リン / オートファジー
研究実績の概要

本研究は学術的問に対する答えを見出すために以下の研究課題を目的とした.
学術的問①:リンの血中濃度変化が骨基質のオートファジー機能に与える影響を明らかにした基礎研究は極めて少ないため不明.学術的問②:オートファジーが骨老化機構へ与える影響は全く分かっていない.従って,提起された研究課題の核心をなす学術的「問い①と②」に対する答えを見出すため,次を本研究課題の目的とした.1)血中リン濃度の変化に対するオートファジー機能の変化を明らかにする.2)オートファジー機能に関連した骨老化経路を明らかにする.上記1)と2)を明らかにすることで,リンのオートファジー機能に対する影響が明らかになり,最終的には,オートファジー機能を介した骨老化機構が明らかになるものと考えた.
平成31年度の実験では,リン濃度調整食を野生型マウスに1~4週間投与え飼育後屠殺し試料を作成した.実験群はそれぞれ,高リン食群,低リン食群,コントロール食群とした.高リン食を与えたマウスでは,他群と比較し成長が異なっていた.リン濃度調整食を与えた群のマウスの長管骨ではオートファジー関連因子の局在が変化することを確認した.透過型電子顕微鏡(TEM)にてオートファゴソームならびにオートリソソームの観察を行った.リン濃度調整食を与えた群では,コントロール食群と比較し単位細胞当たりの数に変化を認めた.従って,血中のリン濃度の変化は,オートファジーの機能的変化を惹起するものと考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成31年度の実験計画では,リン濃度調整飼料によるリン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子の候補探索を行うことを目的とした.
応募者は野生型マウスにリン濃度調整食を与えて飼育すると,オートファジー関連因子(LC3B)の局在が変化することを明らかにしたことから次の実験を計画した.① 生後3週齢の野生型マウスにリン調整食を1~4週間与えて血中リン濃度を管理する.② 屠殺後に試料を作成し,パラフィン・レジン包埋切片で組織解析を行う.骨髄と骨組織から遺伝子とタンパク質を採取する.また,血清も採取する.③ 組織形態学的解析,免疫組織学的解析,電子顕微鏡学的解析,血清解析,遺伝子解析によって,リン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子の候補を選択する.なお,老化の証明は,老化因子[p16Ink4a ,Cdkn1a (p21) ,Trp53(p53) , senescence-associated secretory phenotype(SASP)]の発現解析と,透過型電子顕微鏡(TEM)により,細胞内小器官への蓄積,DNAの障害,ならびに蛋白質の過剰な蓄積などを確認する.オートファジーの機能的変化についても,オートファジー関連因子の発現解析に加え,TEMによるオートファゴソームの定量解析を行う.
以上の計画の①から③はおおむね達成された.しかし,老化の証明は今後さらに行う必要があると感じられた.

今後の研究の推進方策

今後の研究推進は次に示す様に行う.令和2年度実験計画は,細胞老化の証明のために,[p16Ink4a ,Cdkn1a (p21) ,Trp53(p53) , senescence-associated secretory phenotype(SASP)]の発現解析を行う.その結果を踏まえ,老化因子培養骨細胞によるリン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子の絞り込み.リン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子の発現を,in vitroで確認する.① 骨細胞は,直接骨組織から採取・確立する.樹立骨細胞を用い,異なるリン濃度で培養する.② 培養骨細胞における老化の評価は,細胞老化因子の検索で評価する.③ 骨組織以外において,オートファジーの機能は老化とともに低下することが報告されている.そこで,培養骨細胞でもオートファジーの機能が低下することを証明する.④ リン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子を特定するため,培養骨細胞のマイクロアレイ1とプロテオーム解析を行い平成31年度の動物実験で選択された候補分子と照合する.動物実験と培養実験の両者で変動した分子を最有力候補とし,動物実験と異なる新規分子が候補に挙がった場合には,次年度の実験にて関連性があるかを明らかにする.

次年度使用額が生じた理由

平成31年度は,リン濃度の変化によるオートファジー誘発型骨老化を証明するために,リン濃度依存性オートファジー誘発型骨老化因子を特定する予定であった.しかし,他の実験のやや時間がかかったため,老化証明の実験に使用する試薬や解析を外注しなかったため使用額に差が生じた.繰り越した金額は次年度の試薬の購入や解析に使用するため問題なく使用できると考えられる.

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公開日: 2021-01-27  

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