研究課題/領域番号 |
19K10059
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10311929)
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研究分担者 |
中富 満城 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10571771)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90291616)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | T1Rファミリー / 転写 / Tas1r1 / うま味受容体 / Myod1 |
研究実績の概要 |
これまでの研究により、うま味受容体を発現している筋芽細胞C2C12において、C2C12の筋管細胞への分化過程で、Tas1r1遺伝子の発現量が増加することが明らかになっている。そこでC2C12の分化において重要な役割を果たしている転写因子Myod1に着目し、Tas1r1遺伝子の転写調節におけるMyod1の機能を以下の4つの方法により調べた。 ① ENCODEデータベース中のChIP-seq.データを用いて、Tas1r1遺伝子におけるMyod1の結合部位の検索を行った。② Myod1結合部位中に認められた3カ所のE box (CANNTG) (E1, E2, E3)に変異を導入したレポータープラスミドを作成し、レポーターアッセイを行った。③ Myod1過剰発現時のTas1r1遺伝子発現への影響を、qRT-PCR法により解析を行った。④ Myod1 shRNAを発現するstable cell lineを作成し、Myod1発現阻害によるTas1r1遺伝子発現への影響を、qRT-PCR法により解析を行った。 ChIP-seq.データの解析の結果、Tas1r1遺伝子の開始コドン近傍において、複数の結合部位の存在が明らかになった。この結合領域中にMyod1の結合配列であるE boxが、3カ所認められた。次に、これらのE box (E1, E2, E3)に変異を導入し、ルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、E1およびE3に変異を導入したプラスミドにおいてレポーター活性の低下が認められた。Myod1を過剰発現させた場合、発現ベクターのみを発現させたときと比較し、2.6倍のTas1r1遺伝子転写量の増加が認められた。一方、Myod1を発現阻害させた場合、コントロールと比較し63%のTas1r1遺伝子転写量の低下が認められた。 以上の結果より、Myod1の結合配列中のE boxであるE1およびE3にMyod1が結合し、Tas1r1遺伝子の転写の活性化に働いている可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋芽細胞C2C12において、Tas1r1遺伝子プロモーター中に存在するE box、E1およびE3にMyod1が結合し、Tas1r1遺伝子の転写の活性化に働いていることを、本研究により明らかにしていることから。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにC2C12細胞においては、転写因子Klf5がTas1r1遺伝子の転写の活性化に働いていることが明らかになっている。さらに、Klf5の結合配列であるGT boxがE boxのE1近傍に存在していることから、Klf5およびMyod1は相互作用している可能性が推察される。そこで、今後は共免疫沈降法などを用いて、Klf5およびMyod1の相互作用を解析していく予定である。
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