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2019 年度 実施状況報告書

22q11.2欠失症候群の顎顔面異常に関わる頭蓋底軟骨の分化制御メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K10062
研究機関東海大学

研究代表者

梶原 景正  東海大学, 医学部, 講師 (00204397)

研究分担者 木村 穣  東海大学, 総合医学研究所, 特任教授 (10146706)
内堀 雅博  東海大学, 医学部, 助教 (50749273)
太田 嘉英  東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード22q11.2欠失症候群 / Sez12 / DGCR2 / Tbx1 / 頭蓋底軟骨結合 / TGF-beta / 肥大軟骨細胞
研究実績の概要

我々は、ヒト22q11.2ゲノム領域にコードされるDGCR2の遺伝子機能と疾患との関連性を明らかにするため、マウスホモログであるSez12遺伝子のノックアウト/GFP遺伝子ノックインマウス(Sez12-KO)を作成し、さらにその軟骨組織より初代軟骨細胞を調整して研究に用いている。本年度では、骨格形成における分化過程の軟骨細胞でSez12の遺伝子機能について解析し、ヒトDGCR2遺伝子が22q11.2欠失症候群の骨格症状にどのような役割を果たすのかを検討した。特にヘテロ型Sez12, Tbx1ダブルノックアウトマウス(ダブルヘテロマウス)の新生仔マウス頭蓋底軟骨結合の組織学的解析とともに、新生仔胸骨由来の初代培養軟骨細胞を使用して以後の解析を行った。ダブルヘテロ頭蓋底軟骨結合はホモ型Sez12-KOと同程度の発育異常がみられ、組織学的に肥大軟骨細胞への分化阻害が認められた。また初代軟骨細胞に25 ng/ml TGF-beta投与すると、Sez12-KO軟骨細胞ではTGF-betaシグナル亢進による細胞分化阻害としてX型コラーゲン陽性細胞の著しい減少が認められるが、ダブルヘテロ軟骨細胞でも同様の頭蓋底軟骨結合異常と初代軟骨細胞のTGF-betaによる変化が認められた。しかしヘテロ型Sez12-KOおよびヘテロ型Tbx1-KOではこのような異常は全く認められず、TGF-beta投与でも肥大軟骨細胞に特有なX型コラーゲン発現が認められる細胞は、投与前と同様に混在していた。以上の結果からSez12遺伝子は、軟骨内骨化の多様な細胞分化過程でTGF-betaシグナルを抑制性に制御する役割が予想され、このSez12遺伝子機能の消失が22q11.2欠失症候群の発症に必要である可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

22q11.2欠失症候群はヒト22q11.2ゲノム領域のヘテロ型欠失により引き起こされる疾患である。本研究で明らかとしたいDGCR2遺伝子機能について、そのマウスホモログであるSez12遺伝子のいままでの解析結果では、ホモ型ノックアウトマウスおよび初代軟骨細胞では様々な表現型が認められ、DGCR2遺伝子機能の欠失による疾患発症のメカニズムが示唆された。しかしヘテロ型Sez12ノックアウトではこのような表現型は認められず、DGCR2遺伝子と疾患発症との関連性が明らかにできなかった。今年度では、ヘテロ型Sez12, Tbx1ダブルノックアウトの遺伝子型をもつ変異マウスおよび初代軟骨細胞で、ホモ型Sez12ノックアウトの表現型と同様な顎顔面形態異常や細胞変化を確認することができた。ヒトDGCR2遺伝子機能が同じ22q11.2領域にコードされている遺伝子機能と複合または協調して軟骨細胞の分化過程を制御し、l頭蓋底軟骨結合に関連した顎顔面形態形成に役割を果たす可能性が考えられた。

今後の研究の推進方策

昨年度のマウス個体および細胞レベルでの知見を踏まえ、ヒト細胞を用いCRISPER-Cas9システムによりヘテロ型およびホモ型DGCR2遺伝子欠失細胞(DGCR2-KO細胞)を作成する。細胞としては汎用されているHEK293細胞を用いる計画である。さらに既にDGCR2で同定され、また22q11.2欠失症候群の症状に関与するとの知見をもつ一塩基多型(SNP)とTGF-betaシグナルとの関連性を検討する。これらSNPを含むDGCR2 cDNAを調製し、これを発現するミニジーンを作成して、DGCR2-KO細胞に導入して安定発現細胞を作成する。以上の細胞についてTGF-beta投与によるTGF-betaシグナルの変化をルシフェラーゼ・アッセイにより検討する。またBMPなど、他の軟骨細胞の増殖分化に関わるシグナルについても検討する計画である。

次年度使用額が生じた理由

組織化学的および生化学的実験で、当初市販品の購入を計画していた試薬の一部を学内研究支援センターで安価に供給してもらえた。また変異マウスの産出匹数が当初の計画より順調であったため飼育費用が削減できた。以上の理由により当初の予算より51,403円を次年度使用額として計上した。次年度ではプラスチック器具を購入するための物品費として使用する計画である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Administration of Astragalus Membranaceus prevented kidney dysfunction in cisplatin-AKI model mice2019

    • 著者名/発表者名
      Kagemasa Kajiwara, Arai Makoto, Nakada Yoshinobu, Kinoue Takaaki
    • 雑誌名

      Nephrology Dialysis Transplantation

      巻: 34 ページ: i144

    • DOI

      https://doi.org/10.1093/ndt/gfz106.FP292

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Dgcr2ノックアウトマウスを用いた22q11.2欠失症候群の顎顔面症状と頭蓋底成長との関連性の解析2019

    • 著者名/発表者名
      梶原 景正
    • 学会等名
      第61回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 22q11.2欠失症候群て欠失する DGCR2遺伝子は軟骨細胞分化過程でTGF-betaシクグナルを抑制性に制御する2019

    • 著者名/発表者名
      梶原 景正, 長島 豪
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 動物細胞DNAポリメラーゼζ(REV3)の長大な中間領域は損傷乗り越え複製(TLS)に必須ではない?2019

    • 著者名/発表者名
      山田 晃一, 竹澤 純, 嶋崎 杏奈, 梶原 景正
    • 学会等名
      第25回 DNA複製・組換え・修復ワークショップ
  • [備考] http://kage.med.u-tokai.ac.jp/

    • URL

      Kajiwara, K. Research Unit

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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