研究課題/領域番号 |
19K10067
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
黒石 智誠 東北大学, 歯学研究科, 講師 (30400261)
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研究分担者 |
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10241639)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 金属アレルギー / 舌下免疫療法 |
研究実績の概要 |
舌下免疫療法(SLIT)によるニッケル(Ni)アレルギー抑制の解析 これまでの予備試験から、Ni結合タンパク質であるCXCL4とNiの混合溶液を用いたSLITをナイーブ(Ni非感作)マウスに施すことにより、Niアレルギー発症が抑制されることを確認している(Niアレルギーの予防効果)。そこで今年度は、この[Ni + CXCL4] SLITによるNiアレルギー予防効果をさらに詳細に解析した。 まず、SLIT処理の後、Ni腹腔内投与(Ni感作)を行ったドナーマウスから脾臓由来CD4陽性T細胞を精製した。その後、このCD4陽性T細胞をナイーブマウスに移入し、Niアレルギー発症を解析した。その結果、Niアレルギー予防効果を示さなかった、[Ni単独] SLIT処理マウス由来のCD4陽性T細胞を移入したマウスでは、Niアレルギーを発症した。これに対し、[Ni + CXCL4] SLIT処理マウス由来CD4陽性T細胞を移入したマウスでは、Niアレルギーを発症しなかった。この結果から、[Ni + CXCL4] SLITはNi溶液の腹腔内投与によるNi感作を抑制することが明らかとなった。また、[Ni + CXCL4] SLIT処理マウスの顎下リンパ節から精製したCD25陽性制御性T細胞(Treg)を移入することにより、レシピエントマウスにおけるNi感作が抑制された。この結果から、顎下リンパ節で誘導されたTregが、[Ni + CXCL4] SLITによるNiアレルギーの予防効果に重要であることが明らかとなった。 さらに、Ni感作マウスに対する[Ni + CXCL4] SLITのNiアレルギー治療効果についても解析した。その結果、[Ni + CXCL4]にビタミンD3誘導体を添加したSLITを施すことにより、その後のNiチャレンジによるアレルギーの発症が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にある、「SLITによるNiアレルギーの予防・治療効果の解析」が順調に進み、顎下リンパ節および制御性T細胞の関与も明らかになったことから、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究体制に変更予定はなく、今年度同様、研究分担者および研究協力者と緊密に連携し、精力的に研究を推進する。 研究計画に関しては、今年度に確立させるには至らなかった「Ni特異的T細胞応答系」の確立に注力する。この測定系は、今後計画している「TregによるNiアレルギー抑制」や「Ni結合性Tregの機能解析」に必須であることから、ex vivoおよびin vitroでの測定系確立を次年度の重点ポイントとする。また、「舌下免疫療法によるNiアレルギー治療効果」については、マウスモデルでの解析を進め、より効果的な治療プロトコールの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
生じた理由 物品を当初予算より安価で購入できたため。 使用計画 次年度に物品費として使用する。
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