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2023 年度 実績報告書

がん組織の不均一性における酸性細胞外pHの役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K10074
研究機関奥羽大学

研究代表者

加藤 靖正  奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)

研究分担者 前田 豊信  奥羽大学, 歯学部, 教授 (10382756)
鈴木 厚子  奥羽大学, 歯学部, 講師 (90405986) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード酸性細胞外pH
研究実績の概要

腫瘍組織内の細胞外pHは酸性を示すことは古くから知られている。私達は、これまでに高転移性マウス B16-BL6メラノーマにおいてMMP9の発現がpH 5.9で強く誘導されること、この発現経路を遮断することで肺への転移を抑制できることを見出し、その詳細について報告してきた。2023年度は、cDNAマイクロアレイで解析したB16-BL6細胞の酸性pH(mild acidosisとしてpH 6.8、severe acidosisとしてpH 5.9)により発現が変動する遺伝子パターンの特性について、NCBIに登録されているPublicデータと比較した。まず、マウスメラノーマ自然発生モデルにおいて報告された原発巣と転移巣あるいは、末梢循環腫瘍細胞(CTC/Circulating Tumor Cells)との発現パターン(GSE52031)と比較した。期待に反して転移巣で変化する遺伝子発現パターンと、mild、severe問わず酸性pHに反応する遺伝子パターンとの間の相関性が低いことが分かった。また、CTCとの発現パターンとも類似性が少なった低かった。さらに、ヒトメラノーマでの遺伝発現パターン(GSE8401)と比較してみると、発現パターンそのものには相関性は見られなかった。酸性pHで変化する遺伝子発現のontology解析も、メラノーマに特化したパターンを示していなかった。これらのことから、酸性pHで誘導される細胞特性は、これまでの研究成果から、転移を促進するものではあるが、遺伝子発現のパターンの変化は、メラノーマに特化したものではなく、むしろ腫瘍の発生母地の違いに関わらない共通してみられるもので、暴露するpHにより異なる発現パターンを呈することがわかり、がん組織の不均一性をもたらす要因として酸性細胞外pHが重要であることが示された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Bovine lactoferrin suppresses the cathepsin-dependent pathway of SARS-CoV-2 entry in?vitro2024

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto Michiyo、Maeda Toyonobu、Yusa Junko、Shimada Takahisa、Tani Hideki、Kato Yasumasa、Hirose Kimiharu
    • 雑誌名

      International Dairy Journal

      巻: 148 ページ: 105805~105805

    • DOI

      10.1016/j.idairyj.2023.105805

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ムチン4強制発現が及ぼす影響の解析2023

    • 著者名/発表者名
      内山 梨夏, 前田 豊信, 松本 知生, 池田 敏和, 加藤 靖正, 山森 徹雄
    • 雑誌名

      奥羽大学歯学誌

      巻: 50 ページ: 71-84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 頭頸部扁平上皮癌におけるPOSTN遺伝子の発現量と生存率との相関性:in silico分析2023

    • 著者名/発表者名
      神林 直大, 加藤 靖正, 前田 豊信, 高田 訓
    • 雑誌名

      奥羽大学歯学誌

      巻: 50 ページ: 149-159

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ニューデシンの脂肪分化に及ぼす影響について2023

    • 著者名/発表者名
      三浦琢磨, 前田豊信, 加藤靖正
    • 雑誌名

      奥羽大学歯学誌

      巻: 50 ページ: 161-172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ヒスタチンがマトリックスメタロプロテアーゼ9合成に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      金子 良平, 前田 豊信, 松本 知生, 内山 梨夏, 池田 敏和, 山森 徹雄, 加藤靖正
    • 雑誌名

      奥羽大学歯学誌

      巻: 50 ページ: 173-183

  • [学会発表] 酸性細胞外pHに反応する遺伝子の臨床的意義~生存期間の酸性細胞外pH依存性に関するin silico解析~2023

    • 著者名/発表者名
      馬渡琴織, 前田豊信, 加藤靖正
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部 第89回例会・シンポジウム
  • [学会発表] 酸性細胞外微小環境で誘導される遺伝子の臨床的意義2023

    • 著者名/発表者名
      加藤靖正, 馬渡琴織, 前田豊信
    • 学会等名
      第32回日本がん転移学会学術集会・総会
  • [学会発表] 酸性細胞外pHに反応する遺伝子の発現と生存期間との相関性2023

    • 著者名/発表者名
      馬渡琴織, 前田豊信, 加藤靖正
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] ラクトフェリンによる SARS-CoV-2疑似ウイルス感染抑制の検討2023

    • 著者名/発表者名
      小林美智代, 前田豊信, 遊佐淳子, 加藤靖正, 廣瀬公治
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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