研究課題/領域番号 |
19K10077
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
大坂 利文 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70514470)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 細菌表面タンパク質 / 2D-DIGE / Fusobacterium nuleatum |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、常在細菌叢の表現型可塑性という新機軸から歯性病巣感染症の病態形成に関わる細菌-宿主間相互作用に着目し、歯性病巣感染症に対する革新的な予防法・治療法を開発することである。歯周病などの口腔感染症は、腸内細菌叢のバランス異常を誘発し、生活習慣病の病態形成に関与することが示唆されている。しかしながら、腸内細菌叢の機能的変性や病態形成機序との関連は未解明のままである。そこで本研究課題では、細菌表面タンパク質を指標とした蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(Two dimensional fluorescence difference gel electrophoresis, 2D-DIGE)解析を適用することで、多種多様な細菌種で構成される常在細菌叢の中で、病態形成と関連する新たな宿主-細菌間の相互作用や細菌学的要因を解明することを目的としている。本年度は、情報伝達物質を介した細菌間のコミュニケーション(クォーラムセンシング)に伴う細菌表面タンパク質の動態を解析した。オートインデューサー2(AI-2)産生能が異なるFusobacterium nucleatumの共培養による細菌表面タンパク質の変化を2D-DIGE解析で評価した。その結果、AI-2産生能が低い細菌株の表面タンパク質が共培養により発現量が増減することを見出した。また、糞便中の腸内細菌叢の表面タンパク質解析を実施するにあたり、糞便からの細菌表面タンパク質の精製方法を検討したが、2D-DIGEに影響を与える夾雑物質の除去やタンパク質の収量の改善など、技術的課題が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糞便などの試料からの表面タンパク質の精製方法について改善策の検討が必要となり、腸内細菌叢などの複合微生物系の解析が十分に実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、共培養による表面タンパク質の変化の再現性についての検証をするとともに、同定した表面タンパク質が細菌間相互作用(例 細菌凝集、バイオフィルム形成、ディスバイオーシスなど)や生体影響(例 炎症、発癌)に重要な役割を担うかについて検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物流の遅延により一部の研究試薬の納品が遅れたことにより研究の進捗に影響が出たため、研究実施期間を延長する必要があった為。研究期間の延長に伴い、研究に必要な物品費費および論文校正費として使用する予定である。
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