研究課題
基盤研究(C)
eNOSの機能不全に起因する血管障害に対して,eNOS反応を調節するテトラヒドロビオプテリン(BH4)の補充が効果的であるが,ヒト臨床試験では十分な結果が得られていない。その原因がBH4の酸化とBH4補充効率の悪さであることに着目した。本研究では,BH4の酸化が自動酸化ではなく,細胞や組織において酵素的に起こること,およびこのBH4酸化ににNADPHオキシダーゼが関与することを示した。他方,BH4補充効率を決定する輸送体が浸透圧の影響を受けることを示した。
薬物動態学
糖尿病の主な合併症は細小血管症 (腎症,網膜症,神経障害),大血管症(脳梗塞,心筋梗塞)である。これら血管症に次ぐ合併症として歯周病が注目されている。歯周病と糖尿病は相互に負の影響を与えるため,糖尿病患者において有意に悪化するだけでなく,歯周病が糖尿病の合併症(腎症,心疾患)を悪化させる。本研究成果は,BH4の酸化とBH4補充効率を改善する一助であり,歯周病ならびに糖尿病の合併症の有効な治療によって,多くの患者の生活の質の維持と健康寿命の延長への貢献が期待できる。