研究課題/領域番号 |
19K10081
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
宮部 悟 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40534582)
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研究分担者 |
石橋 謙一郎 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (80714609)
長尾 徹 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (90261007)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液腺腫瘍 / 多形腺癌 / PAC / 分子病理学的解析 |
研究実績の概要 |
Polymorphous adenocarcinoma (PAC)は口腔内に多い唾液腺癌である。病理組織学的な診断が難しいことに加え,一部に再発を繰り返して予後不良となる症例も存在し,さまざまな臨床動態を示すことから,PACを分子生物学的に細分化し,PACの病態を解明するとともに,さらなる効果的な治療法の開発が社会的にも必須である。近年PACの一部に新規遺伝子異常として,①PRKD1- ARIDIA融合遺伝子(Thompsonら,Genes Chromosomes Cancer, 2014),②PRKD1 c:2130の一塩基変異(Weinrebら, Nature Genet, 2014)が報告されており、これらPRKD1関連の遺伝子異常をバイオマーカー化することで分子病理学的にPACを細分化し,PACの予後を含めた臨床病理学的特徴を明らかにすることを本課題の趣旨である。課題申請時に計画した症例収集は概ね予定通り進行し、すでに31例の唾液腺PACを収集済である。これらにおいて、PRKD1- ARIDIA融合遺伝子 4例、その他の融合遺伝子8例を認め、融合遺伝子が重複している症例も存在した。また約1/3に一塩基変異を認め、これらはPACの亜型ともいえるCAT(cruciform adenocarcinoma of tongue)やCAMSG (cruciform adenocarcinoma of salivary glands)に関連すると考えられた。現在、分子病理学的解析の最終段階をすすめており、PAC収集の多施設共同研究として、各施設における倫理承認を得られた症例から臨床情報を収集している。データがまとまり次第、迅速に英論文化する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題申請時に計画した症例収集は概ね予定通り進行し、すでに31例の唾液腺PACを収集済である。これらにおいて、現在分子病理学的解析の最終段階をすすめており、PAC収集の多施設共同研究として、各施設における倫理承認を得られた症例から臨床情報を収集している。データがまとまり次第、迅速に英論文化する計画である。
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今後の研究の推進方策 |
現在分子病理学的解析の最終段階をすすめており、PAC収集の多施設共同研究として、各施設における倫理承認を得られた症例から臨床情報を収集している。臨床情報と分子病理学的解析結果がまとまり次第、統計解析を行う。Asianで初めてPACを多施設でまとめた新しい知見を含む報告として、迅速に英論文化する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分子病理学的解析として、FISH解析とPCR解析を行っており、本課題に特異的な遺伝子DNAプローブやPCRプライマーを研究開始当初に購入した。しかし、そのほかの既存の試・物品については、いずれも過去に採択された科学研究費(16K11467)で購入しており、来年度使用額が生じた。最終的には海外学会発表や論文報告数で調整が可能であると考える。
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