研究課題/領域番号 |
19K10083
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
柴田 敏史 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 研究員 (30725057)
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研究分担者 |
庄子 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10336175)
松波 秀行 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 研究員 (80444511)
Wolf Matthias 沖縄科学技術大学院大学, 生体分子電子顕微鏡解析ユニット, 准教授 (90630947)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 5型線毛 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
慢性歯周炎において最も重要な病原性細菌であるPorphyromonas gingivalis の病原性には菌体表面に形成される5型線毛が重要である。本研究はこの線毛構造をクライオ電子顕微鏡解析によって原子分解能で明らかにし、形成機構や構造と機能の関連性を解明することを目的とする。 2019年度はP. gingivalis のFim繊毛を構成するFimAピリンをプロテアーゼRgpBと混ぜることで試験管内で再構成させる事に成功し、得られたFimAフィラメントをクライオ電子顕微鏡を用いて構造解析を行った。この結果、重合状態のFimA 構造を3.6 オングストロームの分解能で決定でき、構造よりピリンのドナーストランドが隣のピリンの疎水性の溝に入り込んで重合している様子が明らかとなった。またFimAは菌体外膜上に保持されたまま重合する事を示唆する結果が変異株を用いた解析によって得られた。これらのことよりV 型線はピリンがプロテアーゼの切断後ストランドエクスチェンジによって重合し、さらに根元成長で形成されていることが判明した。この研究成果を記載した原稿はNature Microbiology誌に2020年3月9日付けでアクセプトされた。 またP. gingivalisのマイナー線毛構成Mfa1ピリンについても、試験管内再構成の条件検討を行い重合物を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
FimA線毛の構造を明らかにし、さらにその構築機構を提案できた。 この研究成果を記載した原稿はNature Microbiology誌に2020年3月9日付けでアクセプトされた。
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今後の研究の推進方策 |
Fim線毛を構成するアクセサリータンパク質とFimAを試験管内で共重合させるための条件検討を行い、重合物を得られればクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を行う。 試験管内再構成によって得られたマイナー線毛ピリンMfa1の重合体の構造解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属研究室に十分な消耗品のストックがあり物品を購入する必要がなかったため。
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