本研究成果により、腎がんや口腔扁平上皮がんにおける3p21.3領域のヘテロ接合性の消失(LOH)が高頻度に認められることの背景にある生物学的意義として、TERT抑制遺伝子の喪失という新たな可能性を示すことができた。また、TERT遺伝子は、細胞に不死化能を与えるテロメレース活性を制御する機能をもち、がん細胞の特異的なマーカーとして着目され、分子標的薬のターゲットとして注目されている。したがって、本研究から得られた新規のTERT抑制遺伝子に関する知見は、これまでにないアプローチからのTERT抑制経路の発見につながる可能性をもち、TERTを標的とした抗がん剤の開発に向けた道を拓く成果と考えられる。
|