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2020 年度 実施状況報告書

好中球分化におけるシグナル標的の同定

研究課題

研究課題/領域番号 19K10090
研究機関広島女学院大学

研究代表者

野間 隆文  広島女学院大学, 人間生活学部, 特任教授 (40189428)

研究分担者 堀口 大吾  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70304532) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードadenylate kinase 2 / HL60 / 好中球 / 分化誘導 / microarray / ゲノム解析
研究実績の概要

HL-60細胞について,野生型とAk2ヘテロノックアウトを用いて,全ゲノム解析と分化誘導時の遺伝子発現解析を行なった。
全ゲノム解析では,レファレンス配列との比較からindel変異はいずれも約6万箇所検出され,現在詳細を解析中である。
一方,好中球分化誘導実験では,10 マイクロモルATRAで1日,2日,4日間処理して好中球分化を誘導し,そこから得られた全RNAを用いてマイクロアレイ解析を行った。得られたデータのin silico解析から以下のような所見が得られた。① 好中球分化誘導前後で発現変動があった遺伝子群のGO解析から,細胞をATRA処理すると,細胞増殖に関連する遺伝子群の発現が低下し,糖タンパク質や免疫に関する遺伝子群の発現が上昇していた。これは,Ak2ヘテロノックアウトでも同様であった。ただし,これらの遺伝子群での発現変動のレベルは,Ak2がノックアウトされている場合,そうでない場合と比べて低かった。このことはAk2をノックアウトした場合にもATRA処理による分化誘導シグナルは入っているが,速やかに応答できない可能性を示唆した。また,細胞を分化誘導した際に核の形態変化から分化程度を確認した際にも,Ak2ヘテロノックアウトは分化しないのではなく,遅くなっていることが確認されたが,このことに一致した。② HL-60細胞を分化誘導した際に,発現が低下した遺伝子群と関連の深い因子の探索をしたところ,代謝酵素関連因子が検出された。この因子はAk2ノックアウトでも検出された。この結果については,現在検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

昨年度は,研究者の大学移籍による研究室立ち上げと新型コロナウイルス感染症への対応に多くの労力を割かざるを得なかったため,研究の遂行の大幅な遅れを余儀なくされた。1年目に得られたデータの分析のため,ゲノム解析結果とマイクロアレイ・データ解析結果のin silico分析を進めた。その結果,Ak2ヘテロノックアウト細胞では,分化誘導に応じた遺伝子発現の大きな変化が抑制され,遅延することがわかった。また,遺伝子発現の制御に代謝酵素関連因子が関与する可能性が示唆された。これらの点について,現在確認作業中である。

今後の研究の推進方策

マイクロアレイ結果のin silico解析により,AK2による代謝が遺伝子発現変動に影響を与えることが確認されたので,取得したゲノム解析結果とマイクロアレイ結果の紐付けにより相関性の有無を検討し,AK2による代謝の標的部位を探索する予定である。その結果,AK2による代謝標的部位候補を実験的に検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度は,研究者の大学移籍による研究室立ち上げと新型コロナウイルス感染症への対応に多くの労力を割かざるを得ず,研究の遂行の大幅な遅れが生じたため,予定研究費の利用が完了できなかった。
今年度は,研究計画を完了するために,昨年度の未使用部分と合わせ,データの分析結果に基づく検証実験と研究の取りまとめに使用する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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