研究課題/領域番号 |
19K10092
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福間 裕 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (50253688)
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研究分担者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 新規輸送因子 |
研究実績の概要 |
破骨細胞は骨吸収時に波状縁というユニークな膜構造からリソソームのプロトンやタンパク質分解酵素を放出する。私達はこのユニークな膜構造を持つ破骨細胞への成熟化が進むと発現が増大する遺伝子の中から新規タンパク質であるRab44を同定した。Rab44は膜輸送の制御を行っていると予測されるが、同遺伝子をノックダウンした破骨細胞は活性化・巨大化した。逆にRab44を過剰発現した破骨細胞では活性化が抑制され、エンドゾームの粒子数が増大した。本研究では以下に述べる解析を行った。 ・Rab44の結合分子の同定:Rab44は細胞内の膜輸送を制御する分子スイッチである。我々はリソソームがRab44依存的に分泌されることを示したが、その結合分子は明らかになっていない。そこでRab44タンパク質と結合するタンパク質をRab44特異的抗体による免疫沈降法より同定した。 ・Rab44欠損マウスの作製:既に本マウスは作製されている。現在、正常に発育し表現型を解析している。 ・Rab44遺伝子欠損マウスでの骨組織・骨代謝の変化:Rab44は破骨細胞では発現しているが、骨芽細胞では発現していない。Rab44ノックダウン破骨細胞が活性化していることから、Rab44遺伝子欠損マウスは骨粗鬆症を呈することが予測できた。そこで胎生期マウスあるいは生後数日後のマウスの透明骨格標本を作製した。アルシアンブルー染色で青色に染まった軟骨組織とアリザリンレッドで赤色に染まった石灰化硬組織の範囲を比較し、マウス個体レベルでの硬骨形成の比較を行った。さらに成長したマウスの大腿骨、椎骨等のX線解析を行い、固定後脱灰パラフィン切片や非脱灰樹脂切片を作製し、HE染色、TRAP染色を行い、骨形成を比較した。またカルセインを2回投与し、非脱灰樹脂標本を作製し骨組織形態計測を行う。またμCT解析により骨量、海綿骨数、海綿骨厚を測定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・Rab44の結合分子の同定:Rab44特異的抗体による免疫沈降法より同定した。それは小胞輸送に関わるVAMP8であった。 ・Rab44欠損マウスの作製:すでに終了している。 ・Rab44遺伝子欠損マウスでの骨組織・骨代謝の変化:現在解析を行っている。しかしながら、正常とRab44欠損マウスとの差異が個体差があるため、予定よりも解析数を増やして検討を行っている。必要に応じて実験的に病態を誘導して、正常とRab44欠損マウスとの骨組織の変化について解析を行う可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
・Rab44の結合分子の同定:Rab44特異的抗体による免疫沈降法より、VAMP8以外のタンパク質についても解析を進めていく。破骨細胞のみならず、マスト細胞、マクロファージ等の免疫細胞を中心に解析する予定である。 ・Rab44遺伝子欠損マウスでの骨組織・骨代謝の変化:正常マウスとRab44欠損マウスの骨組織の差異がない場合は、メスマウスによる卵巣摘出によって実験的に骨粗鬆症を誘導し、破骨細胞を活性化する実験を行う。必要に応じてμCT解析により骨量、海綿骨数、海綿骨厚を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナの影響で学会はすべて中止になり、学会参加費が不要になった。そのため予算を次年度へ繰り越した。 次年度は繰り越した金額を細胞培養や免疫沈降に用いる試薬等に使用する予定である。
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