研究課題
破骨細胞は骨吸収時に波状縁というユニークな膜構造からリソソームのプロトンやタンパク質分解酵素を放出する。私達はこのユニークな膜構造を持つ破骨細胞への成熟化が進むと発現が増大する遺伝子の中から新規タンパク質であるRab44を同定した。Rab44は膜輸送の制御を行っていると予測されるが、同遺伝子をノックダウンした破骨細胞は活性化・巨大化した。逆にRab44を過剰発現した破骨細胞では活性化が抑制され、エンドゾームの粒子数が増大した。本研究ではさらにRab44の分子機構を探るため、in vitro 解析としてRab44と結合するエフェクター分子の同定を行う。さらにin vivo での解析としてRab44のノックアウトマウスを作製し、骨組織・骨代謝の変化を解析する。この分子基盤の解明は新しい骨代謝治療薬への手掛かりになる可能性がある。本年度は以下のような実験を行った。1)Rab44の結合分子の同定:Rab44は細胞内の膜輸送を制御する分子スイッチである。そこでRab44タンパク質と結合するタンパク質を免疫沈降法を用いて同定した。2)Rab44遺伝子欠損マウスでの骨組織・骨代謝の変化:マウスの透明骨格標本を作製した。アルシアンブルー染色で青色に染まった軟骨組織とアリザリンレッドで赤色に染まった石灰化硬組織の範囲を比較し、マウス個体レベルでの硬骨形成の比較した。さらに成長したマウスの大腿骨、椎骨等のX線解析を行い、固定後脱灰パラフィン切片や非脱灰樹脂切片を作製し、HE染色、TRAP染色を行い、骨形成を比較した。またμCT解析により骨量、海綿骨数、海綿骨厚を測定した。今後はこれらの研究結果に追加実験を加えて国際雑誌に報告する予定である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件)
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