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2021 年度 実施状況報告書

根面う蝕の撲滅を目指して!バイオミメティック法を用いたセメント質強化法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K10103
研究機関北海道大学

研究代表者

田中 佐織  北海道大学, 大学病院, 講師 (90344522)

研究分担者 大矢根 綾子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50356672)
宮治 裕史  北海道大学, 大学病院, 講師 (50372256)
西田 絵利香  北海道大学, 大学病院, 医員 (50779882)
田中 享  北海道大学, 大学病院, 講師 (90179771)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード根面う蝕予防 / レーザー援用バイオミメティック法 / 歯質強化 / アパタイト / 歯根露出
研究実績の概要

本研究は,レーザー援用バイオミメティック法により,露出歯根セメント質上にアパタイトをコーティングして,新しい根面う蝕予防法及び進行抑制法を開発,実現することを目的として行われる.(1)セメント質面にアパタイトを析出させることができるか(2)生理活性物質を添加し,セメント質の無機質(アパタイト)及び有機質(コラーゲン)を保護し耐酸性を向上させることができるかを明らかにすることである.
R1年度はNaFを添加したCaP過飽和溶液中にセメント質基材(直径約5 mm)にNd:YAGナノ秒パルスレーザーの非集光ビーム(355 nm, 6 W/cm2)を10分間照射後,照射面および非照射面を,走査電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で分析した.EDX分析の結果,照射面にはCaとPに加え新たにFが検出され,Ca/C元素比の上昇が認められた.これらの結果は,照射面にフッ素含有アパタイト(FAp)が生成したことを示した.
R2~3年度は飽和液中レーザー照射法により、セメント質基材を作製した。基材の表面に、光吸収剤を塗布し、乾燥させた。フッ化ナトリウム(1 mM)を添加したリン酸カルシウム過飽和溶液中に基材を設置し、その表面にレーザー光(昭和薬品化工株式会社製Sレーザー、波長:808 nm)を3分間照射した。照射距離は10 mm、出力は3 Wとした.超純水にて洗浄,風乾し,未照射および照射後の表面のヌープ硬度(KHN)を測定した.照射後のセメント質表面にFApが成膜されたことで,未照射セメント質表面と比較して,KHNの有意な増加が認められた.わずか3分の過飽和液中レーザー照射によってFApを成膜できることを確認した.耐酸性をKHNで測定した結果,測定値にばらつきがみられたため,追加実験の実施のために歯基材を調整している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

SEM,TEM,EDX分析を用いて,LAB法によりヒト歯根セメント質上に,わずか3分でフッ素担持CaPを成膜できることが示された.また生理活性物質のFの添加により試料の一部にFが検出され,歯質の硬度が上昇するしたことから,根面う蝕予防法及び進行抑制できる可能性が示された.現在は臨床応用を視野に入れ,新たな歯科用半導体レーザーを使用して本実験を遂行し,結果を検討している.コロナ下で患者提供の抜去歯の収集が進まなかった.現在の進捗状況はやや遅れている.新たな歯科用半導体レーザーを使用し,照射したヒト歯根面においてFの取り込み,硬度の上昇が確認されたことから,セメント質の脱灰抑制効果試験を行っている.

今後の研究の推進方策

セメント質の脱灰抑制効果試験ために,患者の同意を得て提供される抜去歯収集を行い,試料を確保し,実験を遂行する.その結果を検討し,in vivo実験へ進む.一方,共同研究機関の産総研との連携を現在以上に強化し,成果の検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

コロナ下において,実験の進行が遅延したこと,補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(追加(再現)実験の実施や学会参加、論文投稿など)のため,物品費,旅費,英文校正費として使用予定.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ultrasonic irrigation of periodontal pocket with surface pre-reacted glass-ionomer (S-PRG) nanofiller dispersion improves periodontal parameters in beagle dogs2022

    • 著者名/発表者名
      Miyaji Hirofumi、Mayumi Kayoko、Kanemoto Yukimi、Okamoto Ichie、Hamamoto Asako、Kato Akihito、Sugaya Tsutomu、Akasaka Tsukasa、Tanaka Saori
    • 雑誌名

      Journal of Oral Biosciences

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.job.2022.02.006

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 過飽和液中レーザー照射法によりフッ素担持リン酸カルシウム成膜されたセメント質の表面硬度2021

    • 著者名/発表者名
      田中 佐織,宮治 裕史,田中 享,井上 哲,大矢根 綾子
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2021年度春季学術大会(第154回)
  • [学会発表] 生体組織内へ埋植したBioactive Glass配合根管充填シーラーの表面元素分析2021

    • 著者名/発表者名
      宮治 裕史,吉野友都,加藤昭人,菅谷 勉,田中 佐織
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2021年度春季学術大会(第154回)
  • [学会発表] 大矢根綾子, 坂巻育子, 中村真紀, 奈良崎愛子, 蔀 佳奈子, 田中佐織, 宮治裕史2021

    • 著者名/発表者名
      レーザーを利用した迅速・部位選択的なアパタイト成膜技術と歯面高機能化
    • 学会等名
      第19回産総研・産技連LS-BT合同研究発表会
  • [学会発表] Characterization of human root cementum coated with a fluoride-incorporated calcium phosphate layer by the laser-assisted biomimetic process.2021

    • 著者名/発表者名
      Saori Tanaka, Hirofumi Miyaji, Ayako Oyane, Toru Tanaka, Satoshi Inoue
    • 学会等名
      99th International Association for Dental Research
    • 国際学会
  • [学会発表] 歯科用半導体レーザーによるヒト象牙質基材への迅速アパタイト成膜2021

    • 著者名/発表者名
      大矢根綾子, 坂巻育子, 古賀健司, 中村真紀, 蔀加奈子, 田中 佐織, 宮治裕史
    • 学会等名
      第34回日本セラミックス協会秋季シンポジウム
  • [備考] 北海道大学大学院歯学研究院健康科学分野歯周歯内療法学教室ホームページ

    • URL

      https://www.den.hokudai.ac.jp/hozon2/perio.html

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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