研究課題/領域番号 |
19K10108
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大森 一弘 岡山大学, 大学病院, 講師 (20549860)
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研究分担者 |
中山 真彰 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
竹内 恒 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究チーム長 (20581284)
高柴 正悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
萬代 大樹 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (60534427)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テレイン / 歯周病 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた我が国において,食生活を司る口腔機能を維持することは健康寿命を延伸する上で必須である。一方,8020達成率が50%を超えた現代において,高齢者の口腔内に存在する歯自体が感染源となり,口腔疾患の罹患率が上昇する新たな問題が生じている。 そのため,安全・簡便に応用できる新規口腔治療法の開発が社会的に望まれる。申請者らの研究グループは,抗菌・抗炎症作用を有する一方,極めて細胞毒性が低い真菌由来代謝産物terreinに着目し,1) 有機化学的大量合成経路の確立,2)抗IL-6効果,3)破骨細胞分化抑制効果等を報告した。しかし,terreinの作用機序(標的分子)は未だ不明であり,terreinの有益性を検証する上で標的分子の同定は必要不可欠である。本研究では,様々な薬理作用を期待できる低分子化合物terreinの標的分子を同定し,歯内・歯周疾患モデルを用いた機能解析を行い,terreinの新たな口腔治療薬(治療法)としての可能性を検証することを目的としている。本年度は,terreinの破骨細胞分化抑制メカニズムの一端として、RANKL誘導性のNFATc1の発現を抑制するメカニズムの一端を解明し,報告した。従来考えていたRANKL刺激時に誘導されるNF-kaB経路、MAPKs経路に影響を与えず、別の経路を抑制することによって骨吸収を抑制する可能性が示唆された。今後,terreinの標的分子を同定していく上で,その候補分子の数を絞り込む上で有用な結果が得られたと判断する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Terreinが破骨細胞分化を抑制するメカニズムの一端として,RANKL誘導性のNFATc1発現を抑制することを報告した。なお,従来考えられていたNFkB,MAPKs経路ではなく別の細胞内シグナル伝達系を抑制している可能性を示唆する結果が得られている。リンカー付与terreinの合成は、フラグペプチド合成は終了し,現在,terreinとペプチドを結合させる段階にきている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
リンカー付与terreinの合成を進めるとともに,破骨細胞分化抑制機序のさらなる解明を進める予定である。現在,絹糸結紮歯周炎マウスモデルおよび卵巣摘出骨粗鬆症マウスモデルを用いて,機序の解明を目指している。RANKL刺激時に誘導されるNFkB,MAPKs以外のシグナル伝達経路として,カルシウムイオンの動態に着目して研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定していた分子生物学的実験において、予定していた金額よりも少ない額で実施できたため残金が生じた。 (使用計画)予定している分子生物学的実験の消耗品購入に計上し、適正執行する予定である。
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