研究課題/領域番号 |
19K10112
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
雪竹 英治 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (30380984)
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研究分担者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
門脇 知子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (70336080)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Rab44 / 好中球 |
研究実績の概要 |
好中球は細菌を貪食し、サイトカインを分泌して生体防御の第一線で機能している。我々は独自の研究から、破骨細胞の分化過程で増大する新規遺伝子Rab44を発見し、さらにRab44が好中球にも発現していることを見出した。一般的にRabタンパク質は細胞内の小胞輸送を制御していると考えられているが、Rab44は他のRabタンパク質とは大きく異なり、いくつかのドメイン構造を有する大きな分子である。本研究は、好中球におけるRab44の機能を解明することを目的としている。以下に述べる解析を行った。 1)Rab44の好中球における貪食機能:歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisを好中球に感染させ、Rab44ノックダウンや過剰発現系を用いて貪食・殺菌能に関する影響を解析した。 2)Rab44制御による分泌のバイオイメージング:破骨細胞と好中球の共通メカニズムはリソソーム酵素を外に分泌することである。Rab44ノックダウンや過剰発現系を用いて、タイムラプス蛍光顕微鏡あるいは全反射蛍光顕微鏡を用いて分泌機構を解析している。 3)Rab44結合タンパク質の同定:Rabタンパクの機能を知るためには、どのような分子をエフェクターとしてリクルートするかを知る必要がある。そこで免疫沈降法と質量分析法を用いて解析する。抗Rab44 抗体を用いた内在性のRab44 因子に対する解析と共に、GFPやFlagタグを融合させたリコンビナントRab44タンパク質を発現させて抗タグ抗体による共沈実験も併せて行っている。 4)Rab44 遺伝子欠損マウスの作製:Rab44遺伝子欠損マウス作製は既に理化学研究所生体ゲノム工学研究チームとの共同研究により着手している。現在、正常に発育し表現型を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)Rab44の好中球における貪食機能では貪食・殺菌能に関する影響を解析し完了している。 2)Rab44制御による分泌のバイオイメージングではRab44ノックダウンや過剰発現系を用いて、タイムラプス蛍光顕微鏡あるいは全反射蛍光顕微鏡を用いて分泌機構を解析している。これは現在も解析中である。 3)Rab44結合タンパク質の同定:Rabタンパクの機能を知るためには、どのような分子をエフェクターとしてリクルートするかを知る必要がある。そこで免疫沈降法と質量分析法を用いて解析する。抗Rab44 抗体を用いた内在性のRab44 因子に対する解析と共に、GFPやFlagタグを融合させたリコンビナントRab44タンパク質を発現させて抗タグ抗体による共沈実験も併せて行っている。マスト細胞においてRab44はVAMP8と結合していることを明らかにした。 4)Rab44 遺伝子欠損マウスの作製:Rab44遺伝子欠損マウス作製は既に理化学研究所生体ゲノム工学研究チームとの共同研究により着手している。現在、正常に発育し表現型を解析している。
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今後の研究の推進方策 |
・Rab44制御による分泌のバイオイメージングではRab44ノックダウンや過剰発現系を用いて、タイムラプス蛍光顕微鏡あるいは全反射蛍光顕微鏡を用いて分泌機構を解析している。この解析を完了する予定である。 ・Rab44 遺伝子欠損マウスでは血液検査および組織学的解析を行っているが大きな差異は見当らず、生化学的検査を行う予定である。また同マウスでは病態を構築するため、現在基礎実験を行っている。条件が決まり次第検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は感染症の影響で学会参加はすべて中止になり、予算を次年度へ繰り越した。 次年度は血液検査や組織学検査に必要な試薬を購入する予定である。
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