研究課題/領域番号 |
19K10119
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
青山 典生 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (30611024)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 歯周病 / 循環器疾患 / 血管内皮機能 / 炎症 / 感染 |
研究実績の概要 |
末梢動脈疾患を有する患者と対照群となる被験者における全身炎症の違いを評価した。末梢動脈疾患患者では喪失歯数が多いことは以前の研究からすでにわかっていたが、さらにマトリックスメタロプロテイナーゼなど炎症にかかわる因子が両群で異なることが見出された。今後、この新知見について公表を行っていく予定である。 血管内皮機能と歯周病の状態との関連の評価を進めた。血管内皮機能検査として、RH-PAT(reactive hyperemia peripheral arterial tonometry)により反応性充血による指尖脈波の変化を測定した。その結果として、血管内皮機能が低下した群では歯の動揺が増していることが明らかになった。歯の動揺は歯周病の主要な症状のひとつであることから、歯周病患者では血管内皮機能が低下していることが疑われる。ただし、歯周病の臨床指標である歯周ポケット深さと血管内皮機能との関連を評価してみると、統計学的に相関は認められなかった。今後は被験者を増やして、これらの関連についてのより詳しい解析を続けていくことを予定している。 歯周病と全身疾患、特に循環器疾患との関連はさまざまな研究から明らかにされているが、歯周病患者ではなぜ循環器疾患になりやすいのかについては証明されていない。歯周病では細菌の感染および炎症反応が生じ、それが循環器疾患の初発因子である血管内皮機能の低下につながるようであれば、歯周病に由来する全身への影響の機序の解析に大きな進展となる。引き続きこの点を明らかにするための解析を進めていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
末梢動脈疾患患者の解析、および血管内皮機能の解析とも、被験者のリクルートも進み解析も実施している。このことから、順調に進展しているものと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、末梢動脈疾患患者の解析および血管内皮機能の解析を進める。 末梢動脈疾患患者の解析においてはサンプリングは完了していることから、サンプルの解析、特に適切な対照群を設定して血液中の炎症関連因子の探索を進めることで歯周病と末梢動脈疾患をつなぐシグナルを調査していく。 血管内皮機能の検査については、できる限り被験者を増やすようにするため、検査会場の拡充を検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
被験者数が予定していたよりも少なかった。このため消耗品等にかかる費用が次年度の使用となった。 次年度では、被験者数の増加とともに、既存のサンプルを含めた解析を計画通り行っていく。
|