研究課題/領域番号 |
19K10126
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 直紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80722842)
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研究分担者 |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20401763)
片倉 響子 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70423788) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ペリオドンタルメディスン / 歯周病原細菌 / 潰瘍性腸炎 |
研究実績の概要 |
歯周医学の新規病因論のひとつとして、嚥下された歯周病原細菌が腸内細菌叢を攪乱することで全身性に悪影響をおよぼすという「口腔」と「腸管」の連関が近年注目されている。しかしながら、潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患に対する口腔細菌の直接的な影響は不明である。そこで本研究は、嚥下された口腔細菌が炎症性腸疾患におよぼす影響とそのメカニズムについて、実験的腸炎モデルマウスを中心に明らかにすることである。その関係が明らかとなれば口腔内プロバイオティクス・プレバイオティクスを用いた炎症性腸疾患の予防や治療につながることが期待される。 まず、in vivoにおいてはデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘導性の実験的腸炎モデルマウスの確立を行った。試適濃度を決定する目的で、8-10週齢のC57BL/6マウスに各種濃度DSSを5-7日間飲水投与行った。腸炎重症度の評価は、体重の経時的変化や便の性状、腸管組織における炎症性サイトカイン産生や腸管の組織像から比較検討した。試適濃度における腸炎モデルマウス確立後、主要な歯周病原細菌を経口投与し、未投与群との重症度の比較を行い、Porphyromonas gingivalis投与によって腸炎が重症化することが確認された。in vitroにおいては腸管上皮細胞をPorphyromonas gingivalis菌体にて刺激することで、上皮バリア関連タンパクが変化することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以前使用経験のある疾患モデルであったため、スムーズにDSS誘導性腸炎モデルの確立を行うことができた。また歯周病原細菌投与によるフェノタイプが明らかに確認できたため、in vitroにおける実験も含め、当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
他の歯周病原細菌の影響をin vivoおよびin vitroで検討する。またオルガノイド培養についても手技を確立する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が年度途中で1名辞退となり、その分担金からわずかな次年度使用額が生じた。予定通りの研究計画において、次年度の早い段階で使用予定である。
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