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2019 年度 実施状況報告書

糖尿病患者の歯周病重症化におけるIL-1作用と老齢性テストステロン低下の相乗効果

研究課題

研究課題/領域番号 19K10131
研究機関徳島大学

研究代表者

成石 浩司  徳島大学, 病院, 講師 (00346446)

研究分担者 木戸 淳一  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
二宮 雅美  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10291494)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード糖尿病性歯周炎 / 歯肉線維芽細胞 / マクロファージ / テストステロン / 高齢者
研究実績の概要

糖尿病患者の歯周病は重症化するが(糖尿病関連歯周炎),その病態機序は不明である。また,現在,我が国は超高齢社会を迎えている。一般的に,高齢になると男性ホルモンのテストステロンの血中濃度が減少するが,最近,テストステロンの減少がIL-1βの産生を誘導して歯周病の進行が助長されると報告された。しかし糖尿病関連歯周炎の重症化機序における老齢性テストステロン低下の影響は不明である。
そこで,当該年度において,まず,歯肉線維芽細胞を標的として,炎症因子S100A9誘導性のIL-6およびMMP-1産生においてテストステロンが及ぼす影響を検討した。細胞はCRL2014を用いて行った。テストステロンの濃度は0,0.1,1,5,10,20ng/mLとした。結果として,歯肉線維芽細胞のS100A9誘導性IL-6産生においては,テストステロンの影響は見られなかった。一方,S100A9誘導性MMP-1産生においては,0.1~1 ng/mLテストステロンの添加によって抑制され,5~10 ng/mLのテストステロンの添加によって回復する傾向が見られた。
次に,高グルコース培養下で歯肉線維芽細胞を培養した後,カルプロテクチンで刺激すると通常のグルコース濃度のそれと比較して有意にMMP-1産生が亢進した。
以上の結果から,歯肉線維芽細胞はテストステロンおよび高グルコースの影響を受け,MMP-1の産生を制御しつつ歯周組織の破壊を誘発する方向に導く可能性を示唆するものである。今後,引き続き,研究結果の妥当性を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの予備実験の結果から,高グルコース条件下で培養した歯肉線維芽細胞をカルプロテクチンで刺激するとIL-1産生が有意に亢進すると仮説を立てていたが,想定通りには結果が出ず,そのような細胞反応が見られなかった。そこで,研究課題を逸脱しない範囲でカルプロテクチン以外でIL-1産生を亢進する炎症因子を探していたが,見つけることができない状況にある。そこで,S100A9誘導性のMMP-1産生に着目して,再度,実験系を再考することにして新たな実験を開始したので,全体の進行としては,やや遅れている。

今後の研究の推進方策

歯肉線維芽細胞を高グルコース下で培養した後,S100A9で刺激した後のMMP-1産生誘導におけるテストステロンの影響を検討する。また,S100A9以外にIL-1も刺激因子として採用する予定にしている。すなわち,IL-1の由来を歯肉線維芽細胞ではなくマクロファージのものと想定し直して,新たな研究コンセプトを成立させる。もちろん,これは本研究課題に沿ったものである。
一方,歯周病患者の歯肉溝滲出液中のテストステロン濃度を測定できるように,サンプル採取方法等を検討しつつ実験系を確立する。

次年度使用額が生じた理由

これまでの予備実験の結果から,高グルコース条件下で培養した歯肉線維芽細胞をカルプロテクチンで刺激するとIL-1産生が有意に亢進すると仮説を立てていたが,想定通りには結果が出なかった。そのため,当初予定していた研究が遅れ,次年度使用額が生じた。
現在,研究課題を逸脱しない範囲でカルプロテクチン以外でIL-1産生を亢進する炎症因子を探していたが,未だ見つけることができない状況にある。。
今後は,歯肉線維芽細胞を高グルコース下で培養した後,S100A9で刺激した後のMMP-1産生誘導におけるテストステロンの影響を検討するとともに,S100A9以外にIL-1も刺激因子として考慮する必要があると考えており,それを調べるための実験において,次年度請求額と合わせて使用する予定である。もちろん,これは本研究課題に沿ったものである。
一方,歯周病患者の歯肉溝滲出液中のテストステロン濃度を測定できるように,サンプル採取方法等を検討しつつ実験系の確立を目指す予定なので,これについても,次年度請求額と合わせて余すことなく使用する予定にしている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Carotenoids and Periodontitis2020

    • 著者名/発表者名
      Koji Naruishi
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.3390/nu12010269

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 講義および実習試験の評価による歯周病学教育のあり方の考察2020

    • 著者名/発表者名
      成石浩司,坂本英次郎,生田貴久,木戸理恵,木戸淳一,湯本浩通
    • 雑誌名

      日本歯科保存学雑誌

      巻: 63 ページ: 22-29

    • DOI

      10.11471/shikahozon.63.22

    • 査読あり
  • [学会発表] 重度慢性歯周炎を有する血液透析患者に対して包括的歯周治療を行った一症例2019

    • 著者名/発表者名
      二宮雅美,生田貴久,成石浩司,湯本浩通
    • 学会等名
      第151回日本歯科保存学会秋期学術大会
  • [学会発表] ショウガオールはヒト歯肉線維芽細胞においてAGEs誘導性の酸化ストレスを抑制する2019

    • 著者名/発表者名
      野中康平,板東美香,木戸淳一,稲垣裕司,坂本英次郎,成石浩司,湯本浩通
    • 学会等名
      第62回日本歯周病学会秋期学術大会
  • [学会発表] Diabetic High-Glucose Condition Enhances Calprotectin-induced Inflammatory Responses in Gingival Fibroblasts.2019

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa Y, Naruishi K, Yumoto H.
    • 学会等名
      97th International Association for Dental Research, General Session & Exhibition
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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