研究課題/領域番号 |
19K10132
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
尾崎 和美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90214121)
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研究分担者 |
湯本 浩通 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60284303)
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50707908)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオフィルム / 二酸化チタン / チタニアナノチューブ / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
う蝕や歯周病の発症要因となるだけでなく,誤嚥性肺炎など死に至る疾患の原因ともいわれる口腔バイオフィルムの駆逐技術を開発することは,歯科臨床上非常に意義深い。本研究では,歯牙漂白剤の添加物として歯科に利用されている二酸化チタンを用いてポリフェノールとの合剤を調製し,その抗菌効果を検討した。二酸化チタン(P25)を,アルカリ処理(10MNaOH,110℃),酸処理(0.1MHCl)および十分量の超純水を用いた洗浄を経てチタニアナノチューブ(TiO2 nanotubes,以下 TNT)とし,これにポリフェノール(PolyP)の一種であるEGCGを混合することで合剤(以下, TNT-PolyP mixture)を得た。本合剤の形状を超微細形態学的に評価したのち,う蝕原因菌であるStreptococcus mutansを被検菌として,最小発育阻止濃度および最小殺菌濃度を測定した。また,バイオフィルム形成に対する抑制効果をBiofilm formation assayにて解析した。TNT-PolyP mixtureは,外径7~8nmのチューブ構造が大半であったが,10nmの外径を有する構造物も認められた。TNT-PolyP mixtureを添加することによってS.mutansの発育を阻害,あるいは殺滅せしめることを,またBiofilm formation assayによって一定のバイオフィルム形成抑制効果を確認することができた。次年度は,TNT-PolyP mixture存在下でのバイオフィルムの動態,たとえば細菌の生死やグルカンの合成状態を形態学的に解析するとともに,バイオフィルム内の細菌のバイオフィルム形成関連遺伝子(gtfB/C/D geneなど)の発現変化を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の出発点である合剤(TNT-PolyP mixture)の合成には多少の時間を要したが,ほぼ想定した形状,すなわち一定の範囲内の直径を保持したチューブ構造を得ることができた。また,本合剤の抗菌効果やバイオフィルムの形成抑制効果についても概ね想定した結果を得ることができ,本合剤のう蝕予防など歯科材料としての応用可能性を示唆することができた。本年度の結果から,ほぼ予定通り,次年度に計画しているさらなる検証に着手できる目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた次年度の研究計画に則り,TNT-PolyP mixtureの存在下で形成させたバイオフィルム内のグルカンの合成状態を解析するべく,FITC-ConA染色による共焦点レーザー顕微鏡(CLSM)観察や菌体内外多糖染色を用いた超微細形態学的解析を行う。また,バイオフィルム中の細菌から抽出したmRNAを出発材料として,バイオフィルム形成関連遺伝子(gtfB/C/D geneなど)の発現変化を解析することで,バイオフィルムの初期形成阻止の様相や菌体外多糖の断裂・破壊にTNT-PolyP mixtureが与える影響を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究遂行に必要な試薬をメーカーのキャンペーンを利用して購入したり,あるいは旅券の早期購入による割引を利用し,経費節約に務めたため。 (使用計画)翌年度分として請求した研究費と合わせて,次年度の研究遂行に必要な物品(とくに,遺伝子解析に必要な消耗品)の購入あるいは共用分析機器(総合研究室の電子顕微鏡をはじめとする各種解析機器)の使用料に充てる。
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