研究課題
組織再生に必要な間葉系幹細胞を獲得するために、単層培養(二次元培養)によって、細胞数を増加させる必要があるが、継代数を重ねるに伴い、増殖能、幹細胞性や多分化能が喪失されることが報告されている。スフェロイドは細胞塊のことで、細胞を三次元の状態で培養することができる。スフェロイドの状態で培養することにより、間葉系幹細胞の生理機能が向上することが知られている。本研究の目的は、スフェロイド培養を用いて、継代数の増加により生理機能の衰えた歯根膜幹細胞を回復することができるか否かを検証することを目的に以下の研究を行った。歯根膜幹細胞を3日間単層培養した群と3日間スフェロイド培養した群からRNAを抽出した。そのRNAを用いて、次世代シークエンサーであるIllumina HiSeqシステムを使用してRNA-seqを実施し、Differentially expressed genes(DEGs)について解析した。その結果、PECAM1、CXCR4、PF4V1、NR4A2、ICAM1をはじめとしたいくつかの遺伝子がスフェロイド培養群で発現上昇していることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
当初、スフェロイド培養・単層培養歯根膜細胞の増殖能・分化能の比較を行い、その違いについて検討する予定であったが、最初に次世代シークエンサーによるトランスクリトーム解析を行ったため。
トランスクリプトーム解析により同定したDEGを対象に、機能解析としてGO(Gene Ontology)term 解析や、近似した発現パターンを認める遺伝子クラスターを含んだネットワーク解析を実施する。DEGと関連する代謝経路を解明するため、パスウェイ解析を行い、ウェスタンブロッティングなどの手法で他の因子との関連性を検証する。
受理された論文投稿代が6月発行ということで、計上できなかったため。2020年6月に支払う予定である。
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Regenerative Therapy
巻: 14 ページ: 59-71
10.1016