研究課題/領域番号 |
19K10135
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研究機関 | 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(研究部研究開発室) |
研究代表者 |
石原 裕一 公益財団法人ライオン歯科衛生研究所(研究部研究開発室), 研究部研究開発室, 研究開発室長 (50261011)
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研究分担者 |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 准教授 (10367617)
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
中本 哲自 朝日大学, 歯学部, 教授 (30514989)
田口 明 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70243582)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IL-1 / IL-1RAcP / 血清 / 歯周病検査 |
研究実績の概要 |
申請者は歯周病患者血清中のIL-1RAcP濃度と歯周病病態との関連性を統計学的に解析し、血清中IL-1RAcP濃度が歯周病病態を反映する疾患マーカーに成りうるかどうかについて検討することを目的に研究課題を実施してきた。2019年度は、患者サンプリングを行うため、2019年6月に倫理委員会承認を得た。研究に必要な患者の臨床検査結果収集に使用するパソコンと血清サンプル採取に用いる遠心機等の備品についても準備できた。現在までに健常者(H群)18サンプルと歯周炎患者(CP群)22サンプルを採取し、臨床所見を比較したところ、CP群の4mm以上の歯周ポケット部位率とプロービング時の出血部位率はH群に比べて有意に高い値を示した。各被験者群における血清中IL-1RAcP濃度はCP群のsIL-1RAcPはH群、比べて有意に高い産生を認めた。sIL-1RAcPは慢性歯周炎患者だけでなく健常者でも検出が可能だった.また,高感度CRPは全ての被験者で検出可能であったが,重度の炎症を認める初診時でも基準値以下で,歯周基本治療に対する反応が低く,臨床所見との相関も低かった.それに対し,sIL-1RAcPは高感度CRPに比べて,4mm以上の歯周ポケット部位率において,高い正の相関を認めた.今回計測した,慢性歯周炎患者の血清中でsIL-1RAcP産生が高かったことは歯周病関連細菌やその内毒素刺激により過剰に産生されたIL-1に対する宿主応答としてsIL-1RAcPが高濃度に産生された可能性が考えられた。以上のことから,今後さらに被験者数を増やし,詳細にその動態を検討し適切なエンドポイントを設定することで,sIL-1RAcPが歯周病の発症や進行のメカニズムを考える上での一つの因子となり,歯周炎の病態を正確に表す血清マーカーとなる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画した数のサンプルがまだ収集できていない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度にむけてライオン歯科衛生研究所付属の診療所の体制の変更が検討されているため、予定したサンプル採取が困難になる可能性がある。現在、他の研究機関にこの臨床研究に倫理上使用可能なサンプルがあるかどうか打診をしているところである。その場合、研究当初の条件とは異なる被験者での比較検討になる可能性がある
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:分担研究者の田口 明が2020年度の米国骨代謝学会に参加予定のために繰越をおこなった。 使用計画:COVID-19感染防止の観点から海外出張を取り止めたので、国内の学会参加及び取得されたデータの統計解析委託等に使用予定である。
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