研究課題
令和2年度まではフッ化チタン(TiF4)溶液によるう蝕抑制効果や抗菌性などを検討し、令和3年度は歯科材料への応用を見据え、グラスアイオノマーセメント(GI)へTiF4を添加した際の効果を評価した。令和4年度はこれまでの結果についてさらに詳細な検討を加えていった。TiF4溶液によるう蝕抑制効果では、フッ素濃度だけでなくpHによる影響も考慮し、pH:5および7に設定したTiF4および同じフッ素濃度であるフッ化ナトリウム溶液を用いた。根面象牙質を露出させたウシ抜去前歯試料をう蝕発生環境であるpHサイクルに8週間供し、その間1週間に1度5分間上記溶液に浸漬した。その後脱灰深さと、フッ素およびチタンの歯質への浸透を評価した。その結果、pH:7についてTiF4を適用させることで脱灰深さが小さいことが確認され、TiF4はpHによるフッ素およびチタンの取り込みに差を認めなかった。総じてチタンを添加していることで歯質強化が示唆された。GIへのTiF4の添加について、試作セメントは従来型GIの粉末に任意の重量比に相当するTiF4を添加し、メーカー指定の粉液比でセメントを練和することで用いるが、セメント操作性を考慮し添加濃度を2%以下に設定し、観察期間を3ヶ月とし、材料の性質とう蝕抑制について検討した。その結果TiF4濃度が大きくなるにつれ表面硬さ(ビッカース硬さ)は減少し、圧縮強さには変化が認められず、フッ素徐放量は上昇した。またウシ抜去前歯根面に窩洞を形成し、材料(TiF4添加およびTiF4未添加のセメント)を適用後脱灰溶液に12時間浸漬した後再石灰化溶液に12週間保存した。その結果有意差は認めないものの、TiF4添加量が多くなるほど脱灰量が小さくなり、フッ素およびチタンの取り込み量が多くなっていった。しかしTiF4溶液を作用させた場合よりもチタンの浸透量はかなり少ないものであった。
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