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2022 年度 実施状況報告書

アスコルビン酸輸送担体を介した象牙芽細胞分化を促進させる歯髄再生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K10147
研究機関新潟大学

研究代表者

大倉 直人  新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00547573)

研究分担者 吉羽 永子  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (10323974)
吉羽 邦彦  新潟大学, 医歯学系, 教授 (30220718)
柿原 嘉人  新潟大学, 医歯学系, 助教 (40379938)
大島 勇人  新潟大学, 医歯学系, 教授 (70251824)
研究期間 (年度) 2022-01-04 – 2025-03-31
キーワードSVCT2 / GLUT1 / アスコルビン酸 / 歯髄再生療法
研究実績の概要

Svct2 やGlut1 と呼ばれる輸送担体によってアスコルビン酸は細胞内を輸送することができる。
初年度は、 MTA直覆による歯髄創傷治癒モデルラットを用いて、歯髄創傷時に展開されるアスコルビン輸送経路についてSvct2とGlut1に着目した免疫組織学的解析とリアルタイムPCR解析による遺伝子学的解析を時空間的に行った。 その結果、正常歯髄での酵素抗体法による免疫染色反応では象牙芽細胞、血管内皮細胞、歯根膜細胞および神経線維の一部においてSvct2/Glut1の陽性反応を 認めた。創傷治癒過程では、覆髄後1日の歯髄細胞では Svct2/Glut1 陽性細胞ともに認められなかったが、MTA 覆髄 3日後で象牙芽細胞を含めた多くの歯髄 組織内の細胞にSvct2/Glut1 陽性反応を認め、5 日後では被蓋硬組織が形成されはじめた覆髄部直下で Svct2/Glut1 陽性の象牙芽細胞様細胞が確認された。7日後では、被蓋硬 組織に沿って円柱状に配列した Svct2/Glut1 陽性の象牙芽細胞様細胞が認められた。覆髄後における Slc23a2 および Slc2a1 ともにmRNA 発現量は未処置歯群と比較して3日後をピークに有意に増加した(P<.01)。MTA 覆髄3-5日後にSvct2 と Glut1 による創傷部位へのアスコルビン酸供給経路と代謝経路が形成されていたことが示唆された。さらに歯髄創傷治癒時におけるアスコルビン酸の役割が、象牙芽細胞様細胞への分化においても重要な因子である可能性が考えられた。
2年目にはこれらの結果が正しいかどうかの再試を行いつつ、マクロファージによる創傷治癒の働きについても検討した。すなわち、創傷時に機能するM2マクロファージの局在について特異的抗体を用いて解析したところ、アスコルビン酸を生体内から排除したラットでは、M2マクロファージの局在が創傷面直下で減少することが明らかとなった。したがって、アスコルビン酸がM2マクロファージの機能について深く関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定とほぼ同じように、アスコルビン酸における歯髄創傷治癒時の詳細な役割や機能が解明されつつある。

今後の研究の推進方策

さらに詳細な分子メカニズムについて、特異的抗体を用いた免疫組織学的解析や特異的プライマーを用いた遺伝学的手法を元に解析を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定では、追試実験の際に、不足しそうな高額抗体試薬を予め購入することで、研究を加速度的に進めていく予定であった。しかし、実際には、残存していた抗体で追試が滞りなく終わることが出来たため、当該助成金が生じた結果となった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Prostaglandin E2-Transporting Pathway and Its Roles via EP2/EP4 in Cultured Human Dental Pulp2023

    • 著者名/発表者名
      Ohkura Naoto、Yoshiba Kunihiko、Yoshiba Nagako、Oda Yohei、Edanami Naoki、Ohshima Hayato、Takenaka Shoji、Okiji Takashi、Noiri Yuichiro
    • 雑誌名

      Journal of Endodontics

      巻: 49 ページ: 410~418

    • DOI

      10.1016/j.joen.2023.01.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SVCT2-GLUT1-mediated ascorbic acid transport pathway in rat dental pulp and its effects during wound healing2023

    • 著者名/発表者名
      Ohkura Naoto、Yoshiba Kunihiko、Yoshiba Nagako、Edanami Naoki、Ohshima Hayato、Takenaka Shoji、Noiri Yuichiro
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 1251

    • DOI

      10.1038/s41598-023-28197-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of a resin‐modified calcium silicate cement on inflammatory cell infiltration and reparative dentin formation after pulpotomy in rat molars2022

    • 著者名/発表者名
      Edanami Naoki、Ibn Belal Razi Saifullah、Yoshiba Kunihiko、Yoshiba Nagako、Ohkura Naoto、Takenaka Shoji、Noiri Yuichiro
    • 雑誌名

      Australian Endodontic Journal

      巻: 48 ページ: 297~304

    • DOI

      10.1111/aej.12568

    • 査読あり
  • [学会発表] 歯根形成時におけるピロリン酸および無機リン酸の影響2022

    • 著者名/発表者名
      大倉直人、吉羽邦彦、枝並直樹、竹中彰治、野杁由一郎
    • 学会等名
      第43回 日本歯内療法学会学術大会
  • [学会発表] ケイ酸カルシウム系貼薬剤と水酸化カルシウム系貼薬剤のBiomineralization Abilityの比較2022

    • 著者名/発表者名
      枝並直樹、竹中彰治、吉羽邦彦、大倉直人、吉羽永子、髙原信太郎、野杁由一郎
    • 学会等名
      第157回 日本歯科保存学会学術大会
  • [学会発表] 根尖孔外に漏出したバイオセラミック系シーラーと歯周組織の相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      髙原信太郎、枝並直樹、竹中彰治、吉羽邦彦、大倉直人、吉羽永子、野杁由一郎
    • 学会等名
      第157回 日本歯科保存学会学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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