研究課題/領域番号 |
19K10160
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
清水 康平 日本大学, 歯学部, 准教授 (10508609)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 異所性疼痛 / 関連痛 / 歯痛錯誤 / 歯髄炎 |
研究実績の概要 |
①ラット歯髄炎モデルの作成:計画書記載の麻酔を施したラットの左側下顎第一臼歯の露髄後1日を歯髄炎期とした。 ②歯髄炎と同側舌への機械あるいは熱刺激に対する逃避反射閾値の変化の記録:左側下顎第一臼歯の露髄後1日で,ラットをイソフルラン(4%)にて麻酔後,同側舌縁部にピンセットによるpinch刺激を加え,頭部引っ込め反射が認められた時の刺激強度を機械刺激に対する逃避閾値とした。また刺激用プローブにて同側舌縁部に熱刺激を加え,頭部引っ込め反射が認められた時の刺激強度を熱刺激に対する逃避閾値とした。 ③三叉神経節の活性型 Macrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の共発現の検索:左側下顎第一臼歯の露髄後1日かつ同側舌縁への逆行性神経トレーサーであるFG投与後3日で,ラット麻酔後,通法に従い灌流固定を行う。灌流固定終了後に同側三叉神経節を摘出し,連続切片標本作成後,舌支配神経細胞を標識するFG,三叉神経節内でのMacrophageの活性化マーカーであるIba1, 炎症性サイトサイトカインの一つであるIL-1β, そのレセプターであるIL-1RⅠおよびtoll様受容体の1つであるTLR4との共発現を免疫組織学的手法にて解析した。歯髄炎後、同側舌における熱、および機械刺激に対する頭部引っ込め反射閾値は有意に減少した。また歯髄炎後、三叉神経節細胞において、Macrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の有意な発現増加が認められた。 以上より、歯髄炎は同側舌の痛覚過敏発症を誘導し、その発症メカニズムには三叉神経節細胞における、Macrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の発現増加が関与していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①ラット歯髄炎モデルの作成:計画書記載の麻酔を施したラットの左側下顎第一臼歯の露髄後1日を歯髄炎期とした。 ②歯髄炎と同側舌への機械あるいは熱刺激に対する逃避反射閾値の変化の記録:左側下顎第一臼歯の露髄後1日で,ラットをイソフルラン(4%)にて麻酔後,同側舌縁部にピンセットによるpinch刺激を加え,頭部引っ込め反射が認められた時の刺激強度を機械刺激に対する逃避閾値とした。また刺激用プローブにて同側舌縁部に熱刺激を加え,頭部引っ込め反射が認められた時の刺激強度を熱刺激に対する逃避閾値とした。 ③三叉神経節の活性型 Macrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の共発現の検索:左側下顎第一臼歯の露髄後1日かつ同側舌縁への逆行性神経トレーサーであるFG投与後3日で,ラット麻酔後,通法に従い灌流固定を行う。灌流固定終了後に同側三叉神経節を摘出し,連続切片標本作成後,舌支配神経細胞を標識するFG,三叉神経節内でのMacrophageの活性化マーカーであるIba1, 炎症性サイトサイトカインの一つであるIL-1β, そのレセプターであるIL-1RⅠおよびtoll様受容体の1つであるTLR4との共発現を免疫組織学的手法にて解析した。歯髄炎後、同側舌における熱、および機械刺激に対する頭部引っ込め反射閾値は有意に減少した。また歯髄炎後、三叉神経節細胞において、Macrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の有意な発現増加が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
・歯髄炎発症後のMacrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の拮抗薬あるいは阻害薬の三叉神経節内直接投与後における異所性痛覚過敏抑制効果の検索:ラットを麻酔後,片桐らの方法に従い,ガイドカニューレを頭蓋骨表面から9 mm下方に挿入し,カニューレの先端が三叉神経節の表面にて接する状態に設置する。固定後,表題の拮抗薬あるいは阻害薬をガイドカニューレより持続投与する。三叉神経節内微量投与により上記にて得られた舌痛覚過敏にいかなる変化が発現するか検索を行う。 ・歯髄炎発症後のMacrophage, IL-1β, IL-1RⅠおよびTLR4の拮抗薬あるいは阻害薬の三叉神経節内直接投与後におけるタンパク合成変化の検索:同様に,表記拮抗薬あるいは阻害薬をガイドカニューレより三叉神経節内持続投与により,同部節内のタンパク合成にいかなる変化が起こるか検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際学会への参加をとりやめたため、残金が生じた。次年度への繰越金は、令和2年度の助成金と合わせて、消耗品を中心とした物品費に使用する。また、研究計画書作成時では、予測できなかった実験機器等の耐用年数超過における故障等も発生している為、その修繕費あるいは購入費として充足する予定である。
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