研究課題/領域番号 |
19K10164
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小柳 達郎 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 非常勤講師 (70632173)
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研究分担者 |
佐藤 博紀 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (10804586) [辞退]
芝 多佳彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (90802306)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 / 歯周治療 / 細菌叢解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インプラント周囲炎治療を通じて、細菌のゲノム情報と臨床データにもとづく統合的な細菌ネットワーク解析から疾患の原因となる細菌叢パターンの選定と臨床的パラメーターを記録し、細菌叢の変化と治療効果との関連を検討すると共に、インプラント周囲疾患の診断・治療上の指標となる細菌学的因子を解明し、新たな診断指針および治療プロトコールを開発することである。本年度は昨年度に引き続き、インプラント周囲炎患者の治療を行い、治療後サンプル採集を行った。その後、採取したプラークサンプルを対象に16S rRNA gene sequencingによる細菌叢解析を行った。細菌叢解析は口腔細菌をターゲットにしたデータベースを参照することで細菌種の特定を行なった。すると非外科な治療介入によってインプラント周囲炎が治癒した症例においてはPorphyromonas属の顕著な減少と、Streptococcus属の増加が確認された。我々はこれら2つの細菌の構成比であるPorphyromonas/Streptococcus比がインプラント周囲炎や歯周炎の治療効果や予後を予測する指標になる可能性があることを確認し、国際的科学雑誌に報告した。今後はさらに患者数を比較し、RNAレベルでの細菌叢解析を行い、インプラント周囲疾患の診断・治療上の指標となる細菌学的因子を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症拡大に伴い、臨床サンプル数の確保が減少傾向にある。最低限のサンプル数確保は成されているが、より精度の高い細菌叢解析のためには今後もサンプル採集を継続する必要性がある。
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今後の研究の推進方策 |
治療介入後のデータが集まってきているが、仮説を検証するためにはさらなる被験者数の確保が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在、世界的なCOVID-19感染症拡大に伴い、臨床サンプル数の確保が減少傾向にある。そのため治療介入前後での細菌叢解析に滞りが生じている。次年度も引き続きサンプル採取と治療介入を継続し、サンプル数が確保され次第、速やかにサンプルからのDNA、RNA抽出、精製を行いシーケンサーを用いて塩基配列取得を行う。その後、情報解析によって治療前後での細菌叢比較を進めていく予定である。
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