研究課題/領域番号 |
19K10165
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
永田 昌毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (10242439)
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研究分担者 |
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 培養骨膜細胞 / 培養系の改良 / 移植部位の検討 / 移植材の提供契約 |
研究実績の概要 |
1)本年度についてもラットを実験動物として使用して、移植実験の基礎となる実験系の確立を進めた。使用する培養骨膜細胞についても、昨年度のものを改良し、骨膜専用培地MSC-PCM培地+4%ウシ血清による製造に移行するための条件設定を並行して行った。当初顎骨への移植材移植を予定していたが、実験動物の摂食および呼吸に重大な影響をおこぼすことが予想されることから、移植は背部皮下に行い、予算及び設備の点から、同等の結果を売るためには、ラットによる実験が可能であると判断した。【骨膜専用培地】この培地は間葉系幹細胞用無血清培地をベースに開発された。2%、4%、6%ヒト血清、および4%ウシ血清を添加して、その細胞シートの発育状態を検討した。ヒト血清では4%以上が同等であり、同じくウシ血清でも4%の添加で同等の細胞遊走と細胞シート発育が確認された。今後の使用ではヒトおよびウシにおいて4%が安定的と考えた。シート径においては、培養4週で3.5cm前後を記録し、これは従来の6週間培養に匹敵あるいは優位な結果だった。【移植部位の検討】ラット下顎骨への移植はラットの生存に重大な影響を及ぼす。術後の摂食障害は深刻であり、嚥下の障害や軌道の閉塞をもたらす可能性が強いと判断された。そこで、移植部位はラット背部に限定し、そこに顎骨形態に類似する形態を与えた移植トレーを設置し、細胞移植材を移植する方法を考案した。 2)メーカーから供給を受ける予定をしていた細胞親和性リコンビナントRGDペプチド顆粒(セルネスト:富士フィルム)が国内での販売を停止したため、供給は同社から直接受ける方法を模索した。MTA契約を締結して提供を受ける、準備を進めた(おおむね契約の締結を完了しつつある)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
1)実験系の再考が必要になった。これは動物数の確保から、ラットによる移植実験の可能性を模索した。顎骨への移植は困難であると判断されたため、顎骨以外の部位で当初の顎骨移植と同等の効果を両立できる方法として、ラット背部皮下に顎骨類似の形態を再現する移植法の実現性を検討した。一方で、培養法の変更によって、安定した細胞の製造ができるようになり、実験の進行を補うことが期待できる。 2)移植材の提供が市販の中止のため、滞る期間が続いた。秘密保持契約および材料の提供計画の締結を進めた。現在知財に関する項目でいまだ新潟大学と企業の間で十分な合意ができておらず、いましばらく時間を要するが、おおむね原案が確立しており、可及的に供給再開が現実味を帯びつつあるのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
1)新たな実験系 ラット背部への移植材の移植を実施する。細胞は新しい培養法により製造する。これは現在臨床応用している方法とほぼ同一の培養法である。 2)材料供給企業との契約締結を迅速に進める。契約締結後は集中して実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は移植材量の供給が滞り、予定の実験の推進が困難な時期が大半を占めた。それに対応して、培養法の見直し、および移植法の改善を行い、次年度の研究推進をスムーズにする方策を実施したため。
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