研究課題
本年度は、口腔粘膜の組織再生を最適化するデバイスを実現すると共に、その作用機序の解明、及び治療効果の高効率化を目指した研究を実施した。1)口腔粘膜再生デバイス作製:貼付型の口腔粘膜再生デバイスとして①コラーゲン部分の品質(コラーゲン量、立体構造、架橋処理)および②補助的素材を組み合わせた至適デバイス形状について、複数の条件を設定し、改良品を作製し検討した。 年度内に、3種類の形状からなるデバイスのプロトタイプを作製し、その治療効果とハンドリングを解析した。2)ウサギ粘膜欠損モデルを用いたデバイス治療効果の評価:ウサギの舌表面に粘膜欠損を作製し、その粘膜切除部にデバイスを貼付した。貼布したデバイスは吸収性縫合糸を用いて周囲正常粘膜に固定した。手術時にそれぞれのデバイスタイプの違いによる操作性、固定強度、経時的な貼付状況の違いを評価した。デバイス治療後、2週目に当該動物の安楽死後、デバイスの貼付状況を確認し、舌組織を摘出して舌粘膜再生組織の肉眼的形態、貼付デバイスの変化を評価すると共に、摘出組織内における炎症、線維化の有無などの詳細について病理学組織学的に解析した。非貼付群と比較し、いずれのデバイス貼付群でも、舌粘膜の上皮化は確認されたが、粘着テープ複合型デバイスによる治療群では、肉眼的に再生粘膜部分の面積は広いものの、同部位の線維化、炎症細胞浸潤の程度は対照群と比較し有意に低値であった。3)デバイス貼付による組織変化の生物学的作用解析:上記で採取された組織サンプルに対して、筋線維芽細胞の出現率、線維化関連蛋白の発現を免疫染色により解析した。対象群と比較し、粘着テープ複合型デバイス貼付群では再生粘膜組織におけるαSMA陽性細胞の出現率が抑制されており、線維化巣内でのCTGF陽性細胞も発現率が低いという結果を得た。さらに、MAPK発現も低値であった。
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Tissue Eng Part A
巻: 23-24 ページ: 1480-1489
10.1089/ten.TEA.2020.0374