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2020 年度 実施状況報告書

Software-Defined Dentistryに向けた歯科治療ロボット開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K10168
研究機関鹿児島大学

研究代表者

菊地 聖史  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50250791)

研究分担者 河野 博史  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (20507165)
近藤 英二  鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (10183352)
熊澤 典良  鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (60284907)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード医療用ロボット / 歯科用CAD/CAMシステム / 歯牙切削 / CNC
研究実績の概要

本年度に実施した研究の成果の具体的内容は、次のとおりである。
(1)前年度に光造形方式3Dプリンターを用いて製作した口腔内切削装置の原寸大模型について、実動するように樹脂部品の金属部品への置き換えを進めた。金属部品の製作に際しては、一体構造としていたものを分割するなど、必要に応じ設計や材質を変更した。また、印象材と印象用トレーを用いて口腔内切削装置を歯列に固定するため、口腔内切削装置を印象用トレーに装着するためのアダプターも製作した。
(2)口腔内切削装置の工具位置決め機構を駆動する3個のステッピングモーターならびに患者が動いても意図しない回転が伝達されない独自の回転動力伝達装置などからなる口腔外装置の詳細設計と製作を行った。モーターの回転動力伝達のためと口腔内外の装置の回転運動を同期させるためのフレキシブルシャフトとして、超弾性Ni-Tiワイヤーを用いた。また、同シャフトのモーター端には、口腔内切削装置の工具位置決め機構の回転軸とモーターの回転軸との距離の変化を吸収するため、可変長機構を設けた。
(3)制御用コンピューターに前項のモーターのドライバーを始め、圧縮空気と水のバルブ、非常停止ボタン、ハンドコントローラーなどを接続するためのインターフェースを製作した。また、制御用プログラムとして、LinuxCNCを基本にNC座標系(直交座標系)と口腔内切削装置座標系(円筒座標系)を相互変換するための処理や各種センサーからの信号処理などを追加した。
(4)制御用コンピューターにNCコードを入力するとモーターやバルブ類が制御できることと、非常停止ボタンやハンドコントローラーなどが機能することを確認した。
上記成果の意義として、歯科治療ロボットの基本構成について基本設計と詳細設計が終わり、試作が進んだことが挙げられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

製作上の問題から装置の設計や材質を変更する必要があったため。

今後の研究の推進方策

今後は、装置の試作をさらに進めるとともに調整と評価を行い、問題点があれば改良を試みる。
(1)歯科治療ロボットの調整と動作確認:試作口腔内切削装置は、装置小型化のため原点検出機構を内蔵しておらず、また、工具の位置決め機構を駆動するステッピングモーターもオープンループで制御していることから、使用前に原点出しが必要である。そこで、口腔内切削装置の調整に用いる装置を製作する。次いで、歯科治療ロボットの各部について、調整と意図したとおりに動作するかの確認を行い、問題点があれば装置やプログラムの改良を試みる。口腔内切削装置の部品について、製作難度が高いものについては、樹脂部品のままとするが、金属で製作する方法についても引き続き検討する。
(2)歯科治療ロボットによる切削の試み:試作ロボットによって単純形状の自動切削を試みて動作確認と問題点の把握ならびに解決策の検討を行う。切削形状と切削用NCデーター(ツールパス)の生成には、市販のCAD/CAMソフトを用いる。さらに、歯科用マネキンの模型歯に対して自動形成を試みて、切削精度や切削面性状、切削時間などの評価を行い、問題点があれば改良を試みる。なお、本歯科治療ロボットは、口腔内スキャナーを用いて対象歯の形状だけでなく対象歯と口腔内切削装置または印象用トレーに装着したアダプターとの位置関係も記録し、それに基づいて形成形状の設計とNCデーターの生成をすることを想定している。しかし、本研究では、便宜的に別途生成した形成形状とNCデーターを使用する。
(3)臨床的視点での検討:臨床での使用を想定したときの試作ロボットの有効性や問題点を歯科治療のワークフローにおける位置づけや適用範囲、使用中の患者の安全性や負担などの点から検討する。必要に応じて研究協力者に助言を求める。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行により参加を予定していた国内外学術講演会がウェブ開催や中止になり、旅費の支出がなかったため。次年度の物品費として使用する予定である。

備考

研究期間の前に出願したが、本研究と密接な関係があり、当該年度中に取得した産業財産権
名称:口腔内加工装置及び口腔内治療システム、発明者:菊地聖史、権利者:国立大学法人鹿児島大学、種類、番号:特許、第6715518号、出願年:2016年、取得年:2020年、国内・外国の別:国内

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 歯科治療ロボットの開発~フルデジタル化を通じで目指す歯科治療技術の集積と精度向上~

    • URL

      https://www.kagoshima-u.ac.jp/about/210319_kadaijanal216_koho.pdf

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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