研究課題/領域番号 |
19K10172
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00424169)
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研究分担者 |
宮下 英高 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20445290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 新規骨補填材 / 自家骨置換 |
研究実績の概要 |
超高齢社会では、生涯にわたる健全な歯や歯周組織の保存、あるいは失われた口腔組織に対する機能の回復と構築による咀嚼機能の改善が健康寿命延伸の鍵となる。しかし、既存の歯周組織再生療法や骨増生術は一定の効果を上げているものの、安全性や適応外使用、臨床的ハンドリングなどの改善点を多く抱える。本研究では、成体由来材料に依存しない、完全化学合成による新規骨補填材の開発を目指す。骨リモデリング機能を強化させ、さらに生体に内在する間葉系幹細胞を再生させたい場所に誘導する「間葉系幹細胞誘導システム」を付与することで、動物由来材料から脱却した骨リモデリング機能を有する幹細胞誘導型硬組織再建・再生材料の開発を目指す。外部から細胞移植を行うことなく骨再生治療を達成することから、1次~3次医療機関の全てで使用することができる材料の開発が最終目標である。また完全化学合成による骨補填材が最終目標であることから、歯科・口腔外科領域に限らず、様々な骨欠損の形態や部位に対応することも視野に入れている。口腔領域に限らず、「骨」を対象とする整形外科や形成外科での実用を可能にする基盤研究を計画した。 2020年度は当初予定していた産学連携共同研究施設の変更が行われ、幸いにも本プロジェクトに賛同してくださる新たな産学連携研究施設の目処がついた。また新たに他大学との共同研究計画も立ち上げ、生物材料に依存しない新規骨補填材の開発および、口腔領域疾患への応用を展開していくこととなった。現在、材料開発は共同研究として進めているが、将来的にパイロット版が作成されれば、in vitroおよびin vivoで評価していく必要があるが、基準となる現在の骨補填材の評価が必要である。現在、代表的な骨補填材を3種類用意し、口腔領域の細胞に対する再建材料としての優位性を評価する実験系を確立している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は本プロジェクトに共感・賛同してくださる新たな産学連携研究施設の目処がつき、現在パイロット版の作製に着手している。また新たに他大学との共同研究計画も立ち上げ、生物材料に依存しない新規骨補填材の開発および、口腔領域疾患への応用を展開していく予定である。現在、材料開発は共同研究として進めているが、将来的にパイロット版が作成されれば、in vitroおよびin vivoで評価していく必要があるが、基準となる現在の骨補填材の評価が必要である。現在、代表的な骨補填材を3種類を選定し、用意した。評価系に用いる口腔組織由来細胞の準備方法、使用する成長因子の種類や濃度決定の準備に時間を要していた。本年度はその準備や契約、研究計画の見直しと修正に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
新たな産学連携研究施設、あるいは共同研究大学とweb会議も含めて、綿密に連携を取りながらのパイロット版の作製を進めていく予定である。また、そのパイロット版が作製されれば、倫理申請および動物実験計画書の追加や申請が必要であるかの確認を行い、in vitroおよびin vivoの評価をそれぞれ分担しながら行っていく予定である。今現在は今後開発する新規骨補填材の有用性、有効性を評価するためのin vitroの実験系を構築している。今年度中に現行の骨補填材3種類の細胞増殖能や親和性を評価するための実験を行い、結果の解析まで進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は本プロジェクトに共感・賛同してくださる新たな産学連携研究施設の目処がつき、現在パイロット版の作製に着手している。また新たな共同研究先ともweb meetingを開催し、別の方面からの新規骨補填材を開発していく予定である。現在は現行で認可されている骨補填材を、口腔組織由来細胞を用いて、その増殖能や親和性を評価するための実験を準備し、開始しているところである。そのため、2020年度に予定していた動物実験費を次年度に持ち越すことになり、その分の購入費や管理費、解析費用を使用しなかったため、未使用金が発生した。今後はin vitro実験、in vivo実験を進めていくことになるため、適切に運用できると考えている。
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